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<デブ芸人の価値>デブキャラ席を占有している石塚英彦の存在意義

メディアゴン / 2016年2月1日 7時30分

高橋維新[弁護士]

* * *

古今、芸能界には様々なデブタレントが現れては消えている。名前を挙げればキリがない。「デブ」は、芸能界におけるキャラクターの一ジャンルとして定着していると言っていい。

なぜデブは芸能界に居続けるのだろうか。筆者の理論から説明すれば、「フラ」(http://mediagong.jp/?p=459)という明確な強みを持っているからである。

「フラ」とは、笑いを生む元となる、視覚的に明確な特徴のことである。チビ・ハゲ・ブサイクなどが代表的なところであり、デブと合わせて「4大フラ」と筆者は呼んでいる。

「フラ」を持っている人が動くと、普通の人よりおもしろい。普通の動きをしているだけで、おもしろい場合がある。デブがヒョコヒョコ歩いたり、物をおいしそうに頬張っていたりすると、普通の外見の人がそれをやるよりおもしろいのである。

更に、デブがやりそうもない動きをすると、もっとおもしろくなる。日村勇紀(バナナマン)は、タップダンスや郷ひろみのモノマネで軽快な動きを見せる。元極楽とんぼの山本圭壱も、ダンスの経験があり、様々なスポーツで抜群の運動神経を発揮していた。

これは、裏を返せば、「デブはそういう軽快な動きをしない」という意識が一般の視聴者に植わっているからである。その意識を打破した時にズレが生まれ、笑いとなるのである。

だからデブも、こういう形で「普通のデブであればできないこと」を持っていないと芸能界で生き残っていくのは珍しい。普通の動きをしても中肉中背の人が同じことをやるよりはおもしろいのだが、芸能界にデブキャラは五万といるので、その中で擢んでることができず、早晩飽きられるからである。

高木ブー、ウガンダ・トラ、内山信二、HIRO(安田大サーカス)などなど、「デブ」以外の強みを持っていなかったために尻すぼみに終わってしまっている芸能人は、いくらでも例を挙げられる。

今生き残っているデブは、デブに一つ足せる人である。先ほど挙げた山本は、不祥事でいなくなるまではデブ界の先頭を突っ走っていたと言っていいだろう。山本がいなくなった後は、その任を担っているのは日村と考えてよい。

他に芸能界で生き残っているデブとしてパッと挙がるのは、マツコ・デラックス、伊集院光、塚地武雅(ドランクドラゴン)、石塚英彦(ホンジャマカ)の4人である。

ただこのうちマツコと伊集院は、確かな話芸を持っており、塚地は芝居ができる。3人とも、デブというキャラクターに(初めて見た人に与えるインパクト以外の)意味はない。デブである必然性も、デブタレントとして売り出す必然性もないのである。

他方で石塚は不思議である。これほどデブを前面に押し出したキャラクターも他に類を見ないのだが、デブキャラ以上の強みを筆者は見出すことができない。

デブキャラのみならず、顔面の見た目や、普段のとぼけた言動など、彼全体から醸し出される雰囲気が視聴者に愛されているのだと思うが、愛されているというのは「いても邪魔だとは思わない」という程度のことであって、裏を返せば「いなくなったらいなくなったで構わない」というものである。

「いても邪魔だとは思わない」からテレビがデブキャラをキャスティングしようとした時に第一候補として挙がるのが石塚なのだろう。だから、今も仕事があるのである。

つまり、テレビに基本的には一つしか必要のない「ただのデブキャラ」という席を、今は石塚が占有しているということだと思われる。これは、体調不良等で長期休養が必要になったら、他のデブタレにあっという間に奪われる危険性の高い席である。

石ちゃんには、健康管理に気を付けて欲しいものだ。

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