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<残念すぎた「ENGEIグランドスラム」>志のない番組作りがフジテレビ全体をダメにする

メディアゴン / 2016年2月17日 7時40分

高橋秀樹[日本放送作家協会・常務理事]

* * *

2月13日土曜日のフジテレビ「ENGEIグランドスラム」は、残念な番組になった。

なぜなら、「番組に志がない」のである。演芸を「ENGEI」と、ローマ字表記にして、紹介をDJ風にすることが志ではあるまい。この手法はもはや古さを感じさせるだけだ。

ネタを並べる番組では制作者側は、

 「私たちは足を棒にしてこんなおもしろい人たち、ネタを見つけてきました。いかがでしょう?」

という志を持たねばならない。「いかがでしょう?」がついているのは、見る人が好き嫌いでネタを選べる権利を持っているからである。

劇場に通い、芝居を見に行き「足を棒にして」にして探さなければ意味がない。キャスティングだけで人を選んでいるとしたら最悪である。

もちろん、こういう志もある。

 「私たちは素材が大変優れている芸人たち集めてこう調理してみました。いかがでしょう?」

しかし、「ENGEIグランドスラム」には、上記のどちらもなかった。

「よかった芸人」もいた。

例えば、バカリズム。この人はネタを書く能力を持っている。

村上ショージ。この人には腕がある。どういう腕かというと、他の芸人では絶対に出来ないものすごーく長い「間」を使えることである。その腕は、番組では生きていたか。残念ながら、ネタ全体の尺が長すぎるので今ひとつ分からなかった。

のりお・よしお。「のりおの頭の中はどうなっているのだろう」と思わせたら勝ちだ。その部分は出ていたが、やはりネタ尺が長すぎる。

最低だったのは爆笑問題。舞台衣装としてキラキラ光る素材のスーツを着ている時点でダメである。

SMAP、ベッキー、石坂浩二・・・と時事ネタを拾うのはよいが、それならもっと「フリートークで漫才をやるのだという表現」をしなければならない。演芸場で古い漫才を見せているような衣装はダメだ。

田中のおとし台詞もまるで、昭和30年代の漫才のように古くさく感じられる。制作側は意見を言わなかったのか。口を出せなかったのか、と疑問が残る。

「ENGEIグランドスラム」を名乗るのであったら、ナインティナインは自らネタをやるべきである。司会に甘んじる「終わった芸人」ではないだろう。

矢部が「次はこの方々です」と紹介するのはDJの紹介との二重フリにならないようにと言うことだろうが、言葉が違うだけでこれは二重フリであることに気づいてもいない。

むしろ「次はこの方々です」で言うコメントで収録しておけば、後でネタの順番を入れ替えて編集するときに都合がよい、と言うことが目的であろう。制作側のそういう助平心が番組を面白くなくしていることに気づいていない。

この番組は、スタジオに客を入れての公開収録である。その場合は腹をくくってネタの順番を決めショウとして番組をつくらねばならない。それが構成というものだろう。

客が客席で笑わないようなものを、テレビを見ている人が笑うことなどあり得ない。別撮りのインサートがあるなら工夫して編集すべきだ。後からつけた笑い声がはっきり分かって不快ですらある。

こういうことは、フジテレビの若い世代に伝わっていないのだろうか。志のない番組づくりがフジテレビ全体をダメにしているのではないかという気がしてきた。

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