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<バラエティ制作の倫理>素人・三中元克を追い詰める「めちゃイケ」は公開イジメか?

メディアゴン / 2016年2月22日 7時50分

高橋秀樹[日本放送作家協会・常務理事]

* * *

2016年2月20日放送のフジテレビ「めちゃ×2イケてるッ!(めちゃイケ)」は見ていられなかった。見ていて気分が悪くなった。これはテレビを使った「公開いじめ」であると感じたからだ。

「だったら見なくてもいいよ」という指摘が多数あることは分かっているから、筆者は途中で見るのを止めた。

この日の放送は岡村隆史の休養中に新メンバーになった素人・三中元克のこれまでをまとめたものであった。

プロデューサーに買い物を命じられた三中が(出演者に買い物を命じる制作者というのがまず信じられないが)途中でヤクザに追いかけられるとか、余り役に立たない三中がプロレスの修行に出されるとか、完全に上の立場にある制作者や演者が三中に無理強いする企画が並ぶ。

やはり、これらは「いじめ」と思われて仕方がない。テレビで放送しているのだから「公開いじめ」だろう。見ていい気分になるはずがない。

もともと素人の三中を新メンバーに起用した理由はなんなのだろう。以下は推測である。

ドッキリ企画をやるに当たって、一番リアクションが良いのは素人である。芸人は都合のよいリアクションをしてくれるが、爆発力において素人には叶わない。この素人には「いい素人」と「悪い素人」がいる。

単純に言えば「悪い素人」とは、自分から面白そうなことをやりに来る素人である。その点、三中は、そういう機転も力もないから、リアクションしか出来ない「いい素人」である。

だから、新メンバーに選ばれた。目的はこの「いい素人」三中をドッキリにはめることである。

本当の素人をドッキリにはめようとするれば、時間はかかるし、そもそも余りひどいことも出来ない。そこで三中を「セミ素人」にして、ハメようという計画であろう。つまり制作者は楽をすることを考えたわけだ。

今回の放送では、三中が「芸人になりたい」と言うのにたいし、出演者一同が取り囲んでその甘さをなじる。この構図は、リンチさえも彷彿とさせる。

例えば、「『よゐこ』が体を張っている番組を見たのか」と言う詰問に、三中は「見た」と言ってしまう。しかしこれはウソだった。すると「お前はウソをつく」となじられる。

三中はウソをつかざるを得ないほど追い込まれているということに、制作者は何も感じなかったのだろうか。

批判があっても、「めちゃイケ」は全体がウソなんです、これはリアルショーのフリをした作り物です、という「めちゃイケ」の作り方のルールを述べて反論すれば良いよ思っていたのだろうか。だとすれば、今は、このルールの運用はうまくいっていない。

最後にビートたけしさんに聞いた話を書いておく。

 「たけし軍団には芸人になりたい奴は誰でもいれます。オイラは芸人になりたいときにきっかけを探すのに苦労したから。きっかけだけはあげます。後は自分で」

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