<褒め殺しよりも自虐がマシ?>アメトーーク「今年が大事芸人」は「今年消えそう芸人」にすべき
メディアゴン / 2016年3月13日 7時30分
高橋維新[弁護士]
* * *
2016年3月10日放映のテレビ朝日「アメトーーク」、テーマは「今年が大事芸人」である。
去年ブレイクした芸人を集めてトークをさせるという内容である。ただ、印象としては、このテーマ以上に番組なりの意図があるとは特に思えなかった。単純に去年ブレイクした芸人を集めて、フリートークをさせているだけの印象だったのである。
司会の横にはガヤ要員としてフジモン(FUJIWARA・藤本敏史)が配置されており、ひな壇にいた永野のギャグを一緒にやらされていた。というより、オンエアの尺の大半は永野とフジモンのコラボレーションに割かれており、永野オンリーの「パクリたい-1グランプリ」といっても過言ではなかった(永野は、過去の「パクリたい-1グランプリ」に何度も出ている)。
前に出てくることができなかった永野以外の芸人はもっと積極的になった方がいい。
というよりそれ以前に、今回の「今年が大事芸人」というテーマ設定自体が中途半端だったので、芸人たちも動きにくかったのだと考える。「去年で消えました芸人」や「今年消えそう芸人」であれば、自虐で笑いをとることができただろう。
「今年が大事芸人」などというテーマにしてしまったため、番組側もひな壇に出ている芸人たちが「今後も売れていく」というスタンスでしか扱わず、結果として今どれくらい売れているかとか、今後の抱負などといったあまりおもしろくない話しかできなかったのだ。
その結果、永野とフジモンのコラボレーションでかなりの尺を埋めざるを得なかった面もあったと推察する。
そもそもひな壇の面々は、「アメトーーク」の過去の放映回や、同じテレビ朝日の「M-1」に出てきた面子がかなりの割合を占めており、番宣や芸人自体の売り込みが主目的だったのではないかと疑われても仕方のないところであった。
そうなると番組もひな壇の芸人たちを「こいつらはおもしろいよ」というスタンスで扱わざるを得ないため、ケナシによる笑いが更に遠ざかっていくのである。
そのせいで笑いが封じ込められてしまえば、芸人たちも浮かばれないだろう。褒め殺しにされるよりも、貶されて笑いが起きた方が芸人たちも嬉しいはずである。
逆に言えば、後者の方が嬉しいと思えなければ、プロの芸人とは言えない。
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