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アメトーーク「だから嫌いなんだ発表会」はセンスと力技が成功のカギ

メディアゴン / 2016年3月22日 7時20分

高橋維新[弁護士]

* * *

2016年3月17日放映のテレビ朝日「アメトーーク」のテーマは、「世間一般では好かれているものだけど、自分は嫌いだ」というプレゼンを6人の芸人が順々にしていく企画「だから嫌いなんだ発表会」。

2015年11月19日に同じテーマで放映がされており、好評を博したための第2回目の放映ということだろう。笑いの中核は、「プレゼン」という名の一人トークであり、ピン芸である。

各芸人がプレゼンの題材とした「嫌いなもの」を以下にまとめる。

・ 若林正恭(オードリー):「温泉旅行」
・ 千原ジュニア(千原兄弟):「野球」
・ 又吉直樹(ピース):「鍋」
・ ケンドーコバヤシ:「占い」
・ バカリズム:「冬」
・ ザキヤマ:「カンニング竹山」

このような企画の笑いのとり方は、大きく言うと2通りあるだろう。1つは「自虐のズレ」である。「それが嫌いな自分」が世間からズレていることをボケの核として、笑ってもらうというやり方だ。ただし、今回はこの方法を中核に据えた芸人はいなかった。

もう1つは、多数派が、さも「当然」とスルーしている「おかしなところ」を指摘していく手法だ。これは「あるあるネタ」に近く、ツッコミが笑いの中心になっていく。この笑いは、客としてプレゼンを聞いている多数派に「言われれば確かにそうだ」と納得してもらわないと生じないため、いわゆる「センス」が求められる難しさがある。

ここでいうセンスとは、「多数派に理解してもらえるけど多数派がまだ気付いていないおかしなところ」を見つけ出す能力にほかならない。多数派がすでに気付いてることを指摘しても意味がない。例えば、「酢豚にパイナップルを入れるのはどうなのか」と今さら言っても「センスがない」という評価にしかならない。

その意味では、若林の「仲居さんがものすごくしゃべりかけてくるけど早く出てって欲しい」とか、ジュニアの「球場によって大きさやフェンスの高さが違って、ホームランの出やすさが違うのはおかしい」などというツッコミはまさにセンスの賜物だろう。

展開したプレセンの中では、ザキヤマだけが、少し毛色の違うテーマだった。題材(カンニング竹山)のおかしいところをツッコんでいくというのは他の芸人たちと変わらないのだが、ザキヤマの指摘は、基本的に視聴者が「もう分かっている」ことでしかなかったからだ。

誰もが明示的に気付いているところなので、「発見」のセンスは要らないのだが、このやり方で笑いをとるには何か工夫をする必要がある。ザキヤマは、いつものように竹山のモノマネを何度となくやって、力技で笑いをとっていたが、どんなテーマであろうとあの形に落とし込んで笑いをとれるのは流石だ。

もしかしたら、若林やジュニアのような「センス」がなかったからああせざるを得なかったのかもしれないが、何であれ「笑える」という結果は出ていたのだから、番組としては成功だろう。

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