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<高齢者への給付金バラまき>1人当たり3万円バラまくのに2070円の経費?

メディアゴン / 2016年4月2日 7時30分

石川和男[NPO法人社会保障経済研究所・理事長]

* * *

厚生労働省の公式ツイッター(https://twitter.com/MHLWitter)のフォロワー数は現在、約36万7000人。筆者も、そのフォロワーの1人。

3月29日のツイートに、【高齢者向け給付金の申請受付がはじまります】というタイトルで、次のように書かれている。

「賃金引き上げの恩恵が及びにくい高齢者の方へ、3万円が支給されます。申請受付期間はお住まいの市町村によって異なります。支給要件や、各市町村の申請受付期間は、こちらでご確認ください(http://www.2kyufu.jp/kourei/index.html)。

読者の皆さんはもうすっかり忘れたかもしれなないが、これは昨年から話題になっている『一億総活躍社会の実現』のために、低年金などの高齢者1人当たり3万円を配ろうという話。

今国会で2015年度補正予算が成立したので、早速バラまきが始まる。対象となるのは、上記のツイートにあるように「低所得の高齢者」。そもそも高齢者がツイッターをしているかどうか甚だ疑問なのだが、それはさておき、ツイッターは、今や、政府の政策宣伝手段のひとつとなっている。

このおカネの正式名は「高齢者向け給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)」と言い、詳細は厚労省HPを参照されたい(http://www.2kyufu.jp/kourei/index.html)。もっとも、スマホはおろか、タブレットやパソコンを使いこなして厚労省のHPにアクセスする高齢者がいったい何人いるかはわからないが・・・。

こういう個人向けのおカネを配るのには、けっこうなコストがかかる。配るのは、それぞれの高齢者が居住している市町村の窓口。市町村の職員も、通常業務とは異なる残業を強いられることになる。公務員と言えども、残業代は支払われる。

国会で審議されたこの補正予算の明細書によると、この予算の総額は3390億円。1人当たり3万円支給されるので、対象者は1130万人となる。国民年金受給者の3人に1人程度の人数になる。

この補正予算の明細書によれば、支給に要する経費は234億円となっており、1人当たり3万円支給するのに2070円の費用がかかっている計算となる。

すなわち、この補正予算を執行するために特に必要となる行政コストが、高齢者1人当たり2070円なので、1割弱の「行政経費率」となっている。はっきり言って、仕事の効率は良くない。

この補正予算の執行を通常業務の中で行うようにすれば、この234億円は丸々浮くはずだ。こうした行政コストを極力ゼロに近付けることこそ、いわゆる「ムダ削減」に繋がる。

与党内でも悪評高いバラまきをする経費として234億円もかけているのは、いかがなものか。もっとも、この1人当たり3万円バラまきそのものが悪評なわけだが・・・。

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