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<日清カップヌードルCMに思う>特定のテーマ・人物に対して許容できないアレルギーを持つ人たち[茂木健一郎]

メディアゴン / 2016年4月12日 7時30分

茂木健一郎[脳科学者]

* * *

批判によって放送中止になった日清カップヌードルのCMを見ました。比較的短いヴァージョンと、長いヴァージョンの2種類。見た正直な感想は、「この程度の演出で、批判が来て中止になるのか」ということでした。

特定のタレントさんに特に強い批判があったということですが、その方は、4人の登場人物のひとりで、表現も間接的な示唆にとどまり、要するに、とても控えめなものに感じました。それでも、批判が来たということなのですね。

どうも、世間(の一部)は、特定のテーマ、人物に対して、たとえそれが薄められていても、許容しないような、一種のアレルギー反応のような心理状態になっているようです。この程度のCMで中止とは、今の世の中の不寛容の程度が計測できて、興味深いです。

その上で、今回のCMで、たけしさんが「ばかやろう」(ばかをやろう)とおっしゃっている4事例のうち、2事例は、巨大衣装をつかったり、動物とからんだりといった、新しい「ブルーオーシャン」(競争のない未開拓市場)にかかわるものだったと思いますが、残りの2事例はどうなのでしょうか。

今回のカップヌードルのCMを、アップルの「Think Different」のCM(1997)を比較すると、「固定観念を破る」という意味では、巨大衣装と動物との絡みは積極的に評価できるものの、あとの2事例は、もともと「単に困った話」ということだったのかもしれません。

「固定観念を破る」ということがおバカに見える、ということは、Elon Musk(イーロン・マスク)あたりも言っていることで、大いにその通りだと思うのですが、もともと、今回のCMのキャスティング中、2事例は、ちょっと趣旨が違っていたのかもしれません。

もっとも、「ちょっと趣旨が違う」ということもバラエティ的に取り上げて楽しんでしまう、ということが、いかにも日本的という評価もできたと思うのですが、今回の騒動は、日本の世間の許容度の低下を図らずも示すことになってしまいました。

その一方で、巨大衣装や、動物との絡み、さらにはたけしさんの「コマネチ」のようなおバカについては、日本は肯定的にとらえる振れ幅もあるわけで、そのあたりに今後の希望を見出していくべきなのだろうなあ、とも思ったわけです。

(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

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