<女性政治家つぶしの技術>捏造スキャンダルや悪質な噂による情報操作の手口
メディアゴン / 2016年4月19日 7時20分
水野ゆうき[千葉県議会議員]
* * *
2011年に政治家になってからこれまで、耳を疑うような経験を幾度となくしてきた。一度も話したこともないような政治家が筆者の適当な悪い噂を信じて、さらにその噂や勝手な主観をネットやクチコミで広める・・・ということは日常茶飯事だ。
どの業界でもよくある話かもしれながいが、政治の世界では特に、そういう話のほとんどは事実とは異なり、ねじ曲がっていることが多い。しかし、いちいちそんなことを気にしていたらこの仕事はできないわけで、「どうぞご自由に」の精神を貫くしかない。その強靭な精神力は政治家には不可欠な能力な一つかもしれない。
先日、初対面の政治関係者から、
「水野さん、○○が水野さんにいじめられていると言っていましたよ。いじめないでください。」
と言われた。これにはさすがに呆れた。そもそもその「○○(政治家)」とは、いじめるどころか、まともに会話もしたことすらない。はっきり言ってしまえば、その政治家とは関係がないばかりか、そもそも意識したことすらなかった。
【参考】<女性で若手の無所属議員でもココまで違う>元々無所属、途中から無所属、過去の隠蔽無所属?
あまりにも馬鹿馬鹿しく失礼な発言ではあったが、その時は「挨拶しかしたことありませんが」とだけ切り返し、その場を離れた。しかし、こういったことが起こる度に、いつも気にかかることがある。こういった虚偽(演出? 情報操作?)を乱用する政治家たちの政治家としての意識だ。彼らが政局ばかりを見ているようで、「一体なんのために政治家になったのか」と、筆者に不思議に感じられてならない。
もちろん、こういう「情報操作」は、政治の中では古くからよく使われる手段だ。筆者に限らずとも、これまで国会議員、都道府県議会議員、首長、市区町村議員の数え切れないほどの噂や風聞を聞いてきた。
筆者も政界に入ったばかりの頃は、そういう噂や情報操作に騙されて驚くことも多かったが、実際に「言われている本人」に会ってみると、まったく噂のような人物ではないことが多かった。
要は私たち政治家のみならず、有権者に求められていることは政治家や関係者(と称する曖昧な人たち)などの話を鵜呑みにせず、「人を見る目を養う」ことが重要である、ということだろう。やはり、その人物がどんな人であるかなど、実際に会ってみないとわからない。
政治家が、他の政治家について言及する時、その内容をストレートに真に受けてはいけないということは、実際に政治家になって学んだことの一つだ。残念な話だが、地元貢献もせずに人の批判や悪口ばかりを発信している政治家も少なくない。ただし、そういう人は結局、信用を失っている。
幼少期を米国で過ごした筆者としては、回りくどい言い方は苦手なので、常に直球で勝負する。そのために、日本の政治家ならではの言い回しや画策には、度肝を抜かれることは多い。
例えば、筆者の場合、政治家としての活動や実績などには触れず、短絡的に「『若い』『女性』を武器にしているのだろう」などという表面的なイメージだけで語られ、その部分だけで批判をしてくる政治家もいる。
もちろん、「若い」「女性」は事実である。体力勝負の政治に若さは不可欠だし、女性政治家として女性ならでは主張や政策は重要なので、それはアピールこそすれ、ことさら隠す必要はない。
しかし、「若い女がそれだけでチャラチャラと政治家をやってる」といったような印象付けをされてしまう姑息なテクニックを多発してくるような人たちの存在は、政治家になったばかりの頃の筆者には驚きだった。そんなことに、市民・国民になんのメリットがあるのか、と。
政治家としての評価や判断は、実際に、政治家としての議会や地元での活動を見ていただければ、もう何も言うことはない。政治家への評価や判断は、活動と実績から皆さんに判断していただくだけなのだ。
それでも、「女性」として見られることは厄介なのことも多い。政治家同士がランチや会食をして政策論議や打ち合わせをすることは少なくないが、女性政治家が特定の男性政治家と同様のことをすると男女関係として噂を立てられることもある。
筆者もそういったあらぬ噂をたてられた経験はあるが、犯人はだいたい筆者を疎ましく思う政治家だ。筆者と親しくしている政治家を筆者から遠ざけよう、敬遠させよう、孤立させようと仕向けるテクニックとして、「男女関係スキャンダル」を作り上げる手口である。筆者を孤立に追い込ませたり、政界から蹴落とそうするには有効な戦術だと考えているのだろう。
【参考】<女性議員の「おしゃれ」の是非>女性政治家が「女性らしく」振舞うことは許されるか?
男女関係などの生々しい噂を立てられることは、政治家であれば誰でも嫌がることだ。そういった面倒を回避するために、筆者と疎遠になるような男性政治家もいる。もちろん、そういった虚偽の噂に振り回されるような政治家であれば、残念ながらその人はそれまでの人なのである。
こんなことを書くと、「水野さんはいつも千葉県議会でこういう目にあっているのか」と思われてしまうかもしれない。しかし、無所属・単独の筆者としては議会の中では信用できる・なんでも相談できる議員などは、数人いれば十分。そういう仲間は党派を超えて存在する。
そのため筆者は、仮に彼らの良からぬ噂や悪口を言われた時は、党や組織に縛られないというメリットを生かして、全力で彼らを信じて味方をする。「情報操作は私には効きません」という意思表示を常に明確にしている。
政治の世界で信頼関係を築くことは非常に難しい。だだ、どんなに不利な立場に陥ったとしても味方になったり、議会活動を適切に評価してくれる政治家は存在する。そういう政治家たちには、心から感謝しているとともに、筆者自身が持っていた議員それぞれのイメージもずいぶんと変わった。
これまで悪名が高かった議員も実際に接してみるとまったく異なり、前評判と実態にあまりにもギャップがあった。例えば、現在、筆者がなんでも相談している複数の議員はむしろ「イメージが良いさわやかなタイプ」ではなかったりする。
有権者は当然として、政治家同士でも大切なことは、先入観を持たずに白紙の状態で接し、他人の評価ではなく自分の感性を信じるということだ。
特に、政治家同士で風聞を流しあい、蹴落としあってるような余裕は今の日本にはない。もちろん、地方にもない。この現実を声を大にして言いたい。
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