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メディアが「報道」ではなく「広報」になった国は必ず衰退する[茂木健一郎]

メディアゴン / 2016年4月24日 7時40分

茂木健一郎[脳科学者]

* * *

一般論だが、「報道」と「広報」は違う。たとえば、ある国で、政府発表だけを報じるメディアがあったら、それは「報道機関」ではなく、「広報機関」である。

「報道」という名に値するためには、政府の公式発表とは異なる視点、独自の取材、検証、分析がなければならない。

【参考】「報道の自由」の低下は日本が発展途上国に戻りつつある証か?

そして、成熟した民主主義国では、当然のことながら、メディアは「広報」ではなく、「報道」でなければならない。

資本主義においては、「市場」が機能することが大切である。政府の公式発表は、その市場における事実、見解の一部分にすぎない。だから、市場のメカニズムを理解する者は、政府の公式発表とは別の、報道独自の事実の掘り起こしや分析があることを期待する。

メディアが「報道」ではなく、「広報」になった国は、短期的には政府にとって居心地がいいだろうが、中長期的に見れば、必ず衰退する。

【参考】<最終候補4作品から解説する>五輪エンブレムのデザインに「優劣」など出ない

なぜならば、社会の中でのイノベーションの基礎となる、思想市場における競争がなくなってしまうからだ。

以上のことは、小学生でもわかる常識だと思う。世界のどの国でも、ましてやこの日本においては、以上の常識から外れるような動き、「報道」が「広報」に成り下がるような動きが起こることはないと信じているし、これからも信じたい。

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