<あなた誰?>写真を修正しすぎる「自民党オープンエントリー」のファイナリスト
メディアゴン / 2016年4月30日 7時30分
矩子幸平[ライター]
* * *
認知も集票状況も芳しくないと言われる自民党・参院選公認候補を選出する「オープンエントリー」プロジェクト。自民党としては、将来的なインターネット選挙や、公認候補の公開公募も視野に入れた試みであろうから、「候補者選びの模擬選挙」とはいえあまりの失敗はできないはずだ。
しかしながら、今回の自民党オープンエントリーは、いまいち盛り上がらないものの、試みとしては非常に魅力的であるし、今後のネット選挙の可能性への試金石にもなるはずだ。
オープンエントリーのようなシステムは、通常の候補者選びとは異なり、たんに集票力がある人(例えば有名人とか元・現議員など)を選ぶものではない。集票力や資金力がある人は、普通に後援会などの組織を作り、これまでの手続きで党の公認を得れば良いからだ。
もちろん、今回のオープンエントリーが対象としている「公認候補の候補」とは、そのような人物でないことは誰でもわかることだろう。だからこその「新しい試み」と言えよう。
現段階で、集票力や資金力や知名度はないけれど、魅力的な政策を持っている、党の人材として人物が優れている、将来の強い可能性を秘めている、新しい社会のニーズや感性に合致した感覚を持っている・・・などの「可能性」にベット(賭け)するためのシステムであるべきだと思う。
ようは、浮動票集めに貢献する有名人候補や、もともと地盤と看板を持っているような候補とオープエントリーで選出された公認候補とでは、同じ「公認」でも、その位置づけは全く異なるはずなのだ。
だからこそ、有名人候補に期待される「単なる人気投票」であってはならないし、ましてや、美人やイケメンというような「ルックス競争」は無関係でなければならない。
ファイナリストたちは、できる限り、従来型の政党公認候補のような「政治テクニック」を使うべきではないのだ。魅力的な政策を持ち、国民からの広い指示を得られれば、党(今回は自民党)は、十分にバックアップをしてくれるだろう。
【参考】<自民党オープンエントリーの残念感>元・民主党議員がファイナリストに!不正投票も容易?
しかし、そのような「オープンエントリー」の本来の意義がありつつも、一部に「えっ? これって同一人物?」と思われるような過剰(CG加工)な写真修正をしているファイナリストがいることに驚かされる。
これはオープンエントリーのようなシステムを完全に勘違いしているとしか言いようがない。こういったファイナリストを選んでいる自民党の見識も疑われるぐらいだ。
まだ「公認候補の候補」とは言え、これから政党の公認を得て、国政に挑もうとする人物が、公認候補になる前に、そのような「まやかし」のテクニックにエネルギーを注いでいるようでは、先が思いやられる。
まず、図を見ていただきたい。この図は、現在、自民党オープンエントリーの公式サイトに掲載されている「プロフィール写真(右)」と「現実の本人の写真(左)」の比較図だ。過剰な修正写真は、もちろん「プロフィール写真(右)」の方に見られる。
筆者が、どの候補のプロフィール写真を「過剰な加工」だと感じているかは、ここではあえて記さないので、ぜひ自分の目で判断していただきたい。
「現実の本人の写真(左)」は、自民党が制作したファイナリストの所信表明を収録した公式PR動画から抜き出した。なお、ランダムな写真の抽出では、アングルや表情によって写りの良し悪しに多少の差が出てしまう可能性があるため、機械的な平等性を確保するために、「動画開始から最初の5秒目」の部分をスクリーンショットで入手した。
さて、写真を比較をしてみると、過剰な修正や加工などはしていないファイナリストと、もはや同一人物とは思えないほどに加工されたCGファイナリストとの差は歴然だ。
もちろん、政治家や選挙にもルックスや見た目のイメージは重要だ。全ての候補が見た目の心象を良くするために、少なからぬ努力とお金を使っていることは周知だろう。しかし、そういった「選挙テクニック」を使うのは、公認候補として採用され、実際の選挙が始まってからでも遅くはなかろう。
【参考】<熊本地震で民進党ツイッターが炎上>「中傷ツイートは職員の責任」理論は炎上が加速するだけ
自分が公認候補としてふさわしいか否か、を問うているようなイベントで、「小手先の小さな嘘」をつくべきではない。それこそ、政治不信を通り越して「人間不信」になってしまう。
自民党「オープンエントリー」の制度は、自民党の公認候補としての「適格性」や「可能性」を試すためのシステムであろう。そのようなシステムで、なぜ過剰な写真加工をするのか。化粧だけでも相当な修正はできるのだから、画像加工まではするな、と心から言いたくなる。
過剰修正と思われるファイナリストの「美しい写真」を目にするたびに、公認候補としての審査を受けている段階で早くも「虚偽」をしているように思え、心象はこの上なく悪い。もちろん、本来は、実際の選挙でも、過剰な写真加工はして欲しくないのだが。
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