<人工知能の時代には人格が大事>Nスペ「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」[茂木健一郎]
メディアゴン / 2016年5月16日 7時40分
茂木健一郎[脳科学者]
* * *
5月15日にNHK総合で「人工知能」の番組『NHKスペシャル「天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る」』が放送された。羽生善治さんがナビゲーターということで、とても楽しみにしていた。
人工知能の急速な発展については、社会の中でかなり認識されていると思うが、では、人間はどうすればいいのか、ということについては、あまりコンセンサスがないと思う。私の説は、人間は人格(personality)がより問われるようになるというものである。
最近の人工知能の発展は、つまり、ムーアの法則によって高機能化したCPUによって、従来の学習則を特定の文脈(例えば囲碁とか、自動運転とか)に当てはめた時に、評価関数を最適化することが可能になったということに基づく。
ディープラーニングが喧伝されているが、学習則自体に画期的な新しい発展があったわけではなく、あくまでも文脈が特定された中での最適化が、より深く強くできるようになったということに過ぎない。しかし、それは十分に驚異なことである。
【参考】<素のままの感情表現>ベッキーの言葉がなぜ共感を呼んだのか[茂木健一郎]
なぜ、人工知能の時代に人間の人格が重要になるのか。人格とは、つまりは、人生のさまざまな課題に対する、資源の配分の癖のようなものである。仕事ばかりの人もいれば、5時から男、みたいな人もいるだろう。そこにその人らしさが表れる。
人工知能ならば、例えば将棋という一つの課題を与えられたら、その文脈で、100時間でも1000時間でも連続して集中するだろう。人間はそうは行かない。将棋への集中以外にも、解くべき人生の課題があるからだ。
将棋の棋士は、盤面に集中するだけでなく、ごはんも食べるし、社交もあるし、恋も、家庭も、子育ても、さまざまな複数の文脈にまたがる課題を解かねばならず、そこにおける資源の最適配分は自明ではない。
それぞれの人の人生を、複数の課題にどのような資源配分をするかという問題として考えた場合、正解は一つではないし、その配分の仕方にその人らしさ、人格が表れるのであって、それは、人工知能の問題ではない。少なくともかなりの長期間の当分は。
人工知能の全盛の時代には、人格が大事だというテーマは、昨年のTEDx Tokyoでお話させていただいた。その後も、定量的で実装できる人格モデルについては、考え続けている。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
谷川浩司十七世名人「高槻の地で名勝負を」 大阪の新関西将棋会館でテープカット
産経ニュース / 2024年11月17日 18時34分
-
羽生善治会長「ご恩をいいかたちで、みなさまに返していきたい」関西将棋会館開館記念式典
日刊スポーツ / 2024年11月17日 15時0分
-
永瀬拓矢九段が羽生善治九段下す 4勝1敗で首位並ぶ ALSOK杯第74期王将戦
スポニチアネックス / 2024年11月14日 19時28分
-
羽生善治会長が藤井聡太王位を称賛「結果残されたのはさすが」渡辺明九段には「意気込み感じた」
日刊スポーツ / 2024年11月12日 18時42分
-
将棋棋士・羽生善治九段、対局後に家族で食事 “ギャップ大”なメニュー&笑顔にファンほっこり「可愛いが過ぎます」「対局の時と全然表情が違う!」
ORICON NEWS / 2024年10月31日 19時21分
ランキング
-
1「タイミー」を橋本環奈"パワハラ疑惑報道"直撃? CMキャラが中居正広に差し替わったと思われたが…
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月25日 9時26分
-
2「順調に“子持ち様”化」有吉弘行、優先エレベーターでの「お前降りろよ」発言が物議
週刊女性PRIME / 2024年11月25日 16時30分
-
3セクシー女優時代に妊娠が発覚、未婚の母に「ファンの皆さんが、息子のパパたちです」決意の先にあったもの
日刊SPA! / 2024年11月25日 15時54分
-
4日本テレビ、裁判終結の松本人志の復帰「何も決まっていない」 吉本側から報告&謝罪も
スポーツ報知 / 2024年11月25日 14時57分
-
5「ほんとズレてる」岡村隆史、不倫発覚の盟友を“中学生レベル”の擁護発言で炎上
週刊女性PRIME / 2024年11月25日 17時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください