<3分で読める舛添要一の半生>東大法学部のスーパーエリートから都知事辞職までの45年
メディアゴン / 2016年6月16日 7時30分
メディアゴン編集部
* * *
「混乱を避けるため、リオ五輪が終わるまで続投させて欲しい」
舛添要一都知事のこのセリフは、ディベートで言えば、一発逆転を狙った考え抜いたキーワードだったのだろう。だが、時すでに遅しで、舛添氏の考えと存在は世間からすっかり乖離してしまっていたので、何の効き目もなかった。
ここまで自分を前に押し出して行く舛添氏とは、どんな人物だったのか。この20年、テレビでよく見る「文化人・学者」から政界に転じたこの人物に、俄然興味が湧いてきた人は多いのではないか。
【参考】自ら「炎上」へと突き進む?舛添都知事の「理論的な釈明」
そこで本稿では改めて、都知事にして元東大助教授の政治学者、そしてタレント・文化人でもある舛添氏の半生を簡単にまとめてみたい。
1948年(昭和23年)11月29日福岡県八幡市生まれ。地元の福岡県立八幡高校を経て、東京大学法学部(政治コース)を卒業後の1971年、ただちに同大学法学部助手に就任。東大法学部で、将来の研究者として見込まれたエリート中のエリートは、通常の研究者養成コースである大学院には進学せず、学部卒業後にそのまま助手として残る。「学士助手」と呼ばれる制度だ。舛添氏は、その「学士助手」から自身のキャリアをスタートさせる。舛添氏の人生は、スーパーエリートから始まった。
その後、パリ大学、ジュネーブ国際研究大学院などで客員研究員を歴任。帰国後の1979年、30歳で東京大学教養学部の助教授に着任する。私生活では、1978年に、留学先で知り合ったフランス人女性と結婚している(後に離婚)。
東大法学部の気鋭の若手政治学者としてメディアでも注目を集め、その鋭くもわかりやすい発言と特徴的なルックスでテレビの討論番組では常連となってゆく。
1989年に東大助教授を退官し、独立。舛添政治経済研究所を設立し所長に就任する。テレビタレントとしての自由度と収入からすれば、東大助教授の肩書きなどは舛添氏にとっては、たいして重要ではなかったのだろう。
その後、1990年代からはものすごい勢いでバラエティ番組などへも進出してゆく。国際政治学者・舛添要一の華々しいデビューである。テレビでよく目にする舛添氏の肩書きを見て、「国際政治学というのはどんなジャンルの学問だ?」「何を研究しているんだろう?」と思った人は多いだろう。
しかし、そんな胡散臭さも、東大アカデミズム出身の安定感が全て払拭する。学者でありながらバラエティもそつなくこなす国際政治学者・舛添要一こそ、いわば「文化人タレント」「タレント学者」の代名詞へとなってゆく。
【参考】都知事の高額出張費は「わかりやすいところを叩く」ネット世論の格好のターゲット
2001年には、その知名度と人気を背景に、政界へと進出。もちろん参院選も初出馬にしてトップ当選。2007年の2回目選挙でも、与党逆風をものともせず、堂々の自民党トップで再選する。一時は「総理大臣に最も近い」と言われた。
2007年、安倍改造内閣で早くも厚生労働大臣に就任。その当時発生した年金着服問題では「銀行員がポケットに入れるはずがない。銀行は信用できるが、社保庁は信用ならない。市町村は社会保険庁よりもっと信用ならない」と発言・・・等々、テレビで半生を映像化するのであれば面白いシーンには事欠かない。
2010年に自民党を離党し、「新党改革」の代表に就任。政界進出からわずか10年で、小さいながらも一国一城の主となったわけだ。さすがは東大法学部のスーパーエリートと言わざるをえない。その後、「新党改革」を離れ、2014年に東京都知事に出馬するが、もちろん当選。そして、現在の惨状に至る。
舛添要一氏はそんな半生だ。ところで、今回の騒動が発生する少し前、2016年3月に、フランス政府の最高勲章である「レジオンドヌール勲章コマンドゥール」と受賞していることも忘れてはならない。
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