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<選びようがない都知事選>76歳の記者・鳥越俊太郎、クールビズ・小池百合子、単なる官僚・増田寛也

メディアゴン / 2016年7月15日 7時30分

保科省吾[コラムニスト]

* * *

東京都知事立候補の告示前のテレビ公開討論会を見て、筆者が感じたことについて書いたみたい。そしてこれは多くの都民が共通して感じることであるように思う。

76歳の鳥越俊太郎氏について、ジャーナリスト(毎日新聞社)時代の特別な業績を筆者は知らない。討論を見ていても、東京都政への具体的な施策は皆無である。何のための立候補なのかがわからない。もちろん、立候補の決断が遅かったからと言うのは全く言い訳にならないはずだ。

他候補へ舌鋒鋭く切り込む記者魂は・・・というと、その片鱗さえ見えなかった。実に凡庸な76歳の老人である。野党4党統一候補として宇都宮健児の立候補辞退を引き出したが、その過程が「藪の中」であることもいただけない。

宇都宮氏と政策が「ほとんど同じ」と言うが、だったら先に名前の出ていた宇都宮氏でも良いではないか・・・と突っ込みたくなる。「ほとんど同じ」を強調するよりどこが違うかを主張するのがジャーナリストではないのか。鳥越氏は当選したら、宇都宮氏を副知事に起用すべきである。そうなると76歳の鳥越氏の年齢は、69歳の宇都宮氏と平均化されて73才に若返る。

【参考】<三宅洋平氏落選>実態なき支持層が産み出した「選挙フェス」という都市伝説

小池百合子氏の国会議員時代の業績については、筆者が知っているのはクールビズの広告塔になったことくらいである。討論においてもパフォーマンス型の弁論をくり返し、中身の薄い小泉純一郎氏をみるようだ。国政ではなく都政なのに、と思う。

自民党と決別した方が実は選挙では有利ではないのか、と思っているようで、その打算が綺麗な光るスーツの下から覗く。

増田寛也氏の岩手県知事時代の業績は、財政赤字を増やしたことくらいしか知らない。建設官僚出身の増田氏は県知事を退いてのち、日本創世会議なるところの座長として、2040年までに全国約1800市町村のうち約半数(896市町村、全国の49.8%)が消滅する恐れがあると発表した。

この少子化と人口減少が止まらない「消滅可能性都市」なるものの報告、いわゆる「増田リポート」はいかなる目的のために発表されたのか、今ひとつ納得できない。が、増田氏の著作は売れた。討論では明瞭な言語で上滑りをしている地に足のつかない人との印象を抱く。官僚出身者は官僚を超えないのではないか。

筆者が新しい東京都知事にやって欲しいのはまず、東京都庁に巣食うあらゆる利権の排除である。知事をはじめ、都庁職員、市区町村職員、建設業者、教育関係者。これらが積み重ね来た暦年の澱(おり)である「利権」をきっぱり排することである。都政はそこから始まる。

東京都の予算は膨大でスウェーデンの国家予算にも匹敵する。有権者に直接選ばれる都知事の権限は大変強く、大統領並みである。

これらを鑑みて、再び3氏を見直すと「かくして、誰もいなくなった」との結論に達してしまうのだが、それは許されない。困っている都民は筆者だけではあるまい。

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