<ミュンヘン乱射事件>テロはかたちを変えた現代の「自殺」[茂木健一郎]
メディアゴン / 2016年7月31日 7時30分
茂木健一郎[脳科学者]
* * *
7月22日、ミュンヘンでも乱射事件が起こった。今回の犯人である18歳の少年には、宗教的背景はなかったようだが、過去の乱射事件への強い関心を示していたという。
今や、テロは、どこでも、いつでも、「ランダム」に起こるような印象である。そして、宗教的な動機が語られることも多いが、私は、順番は逆ではないかと思う。まずは、ある一人の人間が、精神のバランスを崩すのである。その「理由付け」を、逆に、宗教に求める。
テロ実行犯の多くが死亡しているところを見ても、テロは一種のかたちを変えた「自殺」であろう。その際に、多くの、関係のない人たちを巻き込む。許しがたいことだが、そのような精神のバランスの喪失に、「宗教」があとづけで理由として使われているように見える。
【参考】<パリ同時テロ報道>土日の報道量の少なさと対応の遅さはテレビ局のスタッフ不足が原因?
本来、宗教には、社会から疎外されたり、少数派の人たちに「居場所」を与える機能があったのであろう。それが、一部の過激な人たちの主張によってのっとられ、今日の惨状がある。宗教は説明原理として援用されているだけで、本質は、社会との関係がうまくいかないで孤立している人たちの存在にある。
結局、テロの発生をふせぐためには、さまざまなかたちで社会の中で居場所を見つけられる「社会的包摂」しかない。宗教が今日に存在する意義があるとすれば、異質なものでも許容し、受け入れる、共生の思想にしかないだろう。
結局、問題になっているのは、いつも集団と個人の関係である。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 17時20分
-
初の女性大臣は「売春を広めた罪」で銃殺刑に…ミニスカートの女性たちが一掃された"イスラム国家"の実態
プレジデントオンライン / 2024年11月12日 18時15分
-
中国4大都市すべてで凶悪事件発生、経済不況下で鳴り響く警鐘―シンガポールメディア
Record China / 2024年11月2日 11時0分
-
「全領域異常解決室」ヒルコや組織の謎に考察集まる 「ヒルコも全決のメンバーも神的な存在なのかも」
エンタメOVO / 2024年10月31日 12時52分
-
【全領域異常解決室 第4話】連続飛び降り自殺は妖怪の仕業?興玉&小夢、真相に迫る
モデルプレス / 2024年10月30日 7時0分
ランキング
-
1池袋暴走事故の飯塚幸三受刑者(93)が死亡 松永拓也さん「後悔や経験の言葉を託された。死を無駄にしたくない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 11時38分
-
2高市早苗氏はいつ「タカ派政治家」になったのか…「ポスト石破」に一番近い女性政治家の"克服すべき弱点"
プレジデントオンライン / 2024年11月25日 8時15分
-
3【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
NEWSポストセブン / 2024年11月25日 7時15分
-
4ALS嘱託殺人 被告の医師に2審も懲役18年 大阪高裁が控訴棄却
毎日新聞 / 2024年11月25日 10時51分
-
5バイクパーツに「打倒県警」 SNSで集まり少人数ゲリラ化 暴走から空ぶかし「コール」合戦に 急増する騒音通報に沖縄県警「検挙は難しい」理由は
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月25日 8時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください