<選挙時だけの街宣に疑問>いまこそ政治家は「大右翼・赤尾敏」に学べ
メディアゴン / 2016年7月31日 7時40分
山口道宏[ジャーナリスト]
* * *
猪野健治の「日本の右翼」(ちくま文庫)を読んでいる。猪野といえばご存じ我が国の右翼研究の第一人者だ。「新右翼」の名付け親としても知られる。
その猪野が同書で赤尾敏(あかお・びん)についてこう書いている(「反共の鬼将軍」)。
「佐藤栄作(幹事長時代)に、赤尾クンもこの辺でマユをつくらなければダメだよといわれると、マユをつくれとはなんだ。キミは悪と妥協したから出世したんだ。ぼくは神の選んだ代表だ。愚民が選んだ代議士よりぐっと上だ、とカミついたりするあの一流の毒舌と反骨精神が赤尾信者をシビれさせるわけである。公判廷で検察官をつかまえて、検察庁は腐っている、とどなりつけ弁護士をあわてさせたのは赤尾くらいのものであろう。検察官を侮辱すれば立場が不利になることはわかりきっている」
銀座数寄屋橋で雨の日も風の日もひたすら声をあげる白髪で眼光鋭い老人がいた。故・赤尾敏、そのひとの存在は年配の読者ならばおそらく記憶にあるだろう。70年間「反ソ反共」を唱え数寄屋橋では25年間の毎日、90歳を過ぎても立ちマイクを持った。
その辻説法は3万回という。
断っておくが筆者はその主張を是とするわけではない。ただし真面目さに右も左もない。政治家は真剣に政治を語れよ、である。本気度が違う。
【参考】<三宅洋平氏落選>実態なき支持層が産み出した「選挙フェス」という都市伝説
「書を捨て町へ出よう」といったのは60-70年代に活躍した詩人・寺山修司だが、選挙時だけの街宣ではない。日頃から町を歩き、道行くひとにひたすら頭をたれ、話を聞き、語るがいい。
国会議員から地方議員まで、すっかりサボタージュが続く、我が国の「センセイ」たち。そもそも政治とは議会の前に決まっている。
いま政治家は、政治家たる矜持を赤尾敏に学べ、である。
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