<「2050日本復活」の未来予測>2050年は日本と米国の二大国時代?
メディアゴン / 2016年8月30日 7時30分
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
* * *
西暦2050年、今から34年後のその年になるまでに、日本はどんな変貌を遂げるのか。
レーガン政権で商務長官特別補佐官を務め、日本在住経験もあるクライド・プレストウィッツ氏(Clyde Prestowitz)が書いた「近未来氏ミュレーション・2050日本復活(原題 Japan Restored)」(東洋経済新報社)が興味深い日本の未来予測を書いている。
次に挙げる項目が、2050年までに起こるかどうか、本書が現実になると指摘しているのは何か。まずは自分の考えでチェックしてみて欲しい。
( )アベノミクスは失敗し日本は一時IMF(国際通貨基金)の管理下にはいる。
( )世界の航空機はミツビシがつくった超音速旅客機が世界のほとんどのシェアを占めており、ボーイングは三菱の傘下に入った。
( )日本人はこれまでに無い高さの超高層建築技術を確立し、世界一高いビルは日本にある。
( )日本人の住環境は劇的に改善し、これまで過疎であった土地に広大な土地を持つ住宅が建ち並んでいる。
( )タクシー、バスなどを含め自動車はほとんどが自動運転車に置き換わり運転手と言う職業は消滅している。
( )上場企業の取締役はその半分以上が女性である。また医師の75%も女性である
( )旧来の原発はすべて廃止されたが、日本のエネルギーは、若干の再生可能エネルギーと共に、大部分は新たに開発された新型原子力発電が担っている。
( )日本は移民を受けいれる政策に転換したが、その比率は6% 。受け入れる移民の資格は制限され、看護婦資格を持つもの、ハイテクノロジーの技術者のみである。
( )ビジネス資格の取得にあったって、世界のトップ3を占めるビジネススクールは一橋大学、慶応大学、京都大学の3校である。
( )ソニーはサムスンの傘下になる。
( )日本は世界の若者から留学先として最も人気のある国になっている。
( )英語は日本の第二公用語となり、すべての国民は英語で意思疎通をすることができる。
( )沖縄で独立運動が勃発し、住民投票で賛成多数を占める。
( )日本は防衛力を増強し、核武装して世界第3位の軍事大国になっている。
( )中国経済は衰退しているが、日本は尖閣諸島の領有権をことさら主張しなくなり、事実上中国との共同管理となる。
( )TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、締結され、巨大な自由貿易圏ができている。
( )アメリカは自国のみによるパックス・アメリカーナは翳りを見せ始め、日本、インド、シンガポールオーストラリアを含むパックス・パシフィカの時代になっている。
( )日本の合計特殊出生率は、2.1を越えている。
( )日本人の平均寿命は95歳である。
( )日本の経済成長率は4.5%。人口は1億4000万人になっている。
( )日本は世界において再生医療の最新技術を持つ国であり、世界の患者は日本での治療を望んでいる。
( )日本では自分の細胞から臓器を再生する技術が確立している。
( )2050年は、日本とアメリカの二大国時代である。
以上であるが、いかがだろうか。
【参考】<日本はアメリカの属国?>トランプ氏の過激な発言があぶり出す米軍への「思いやり」予算
途中から、うすうす感づいた方もいらっしゃるだろうが、本書ではこれらはすべて現実になることになっている。さて読後の筆者の感想である。
まず、論拠が弱く読んでいくのは少々つらい。そして何よりも、日本の上記の状態をして「日本復活」と名付けているが、これらが全てかなったとして、はたしてそれが「日本復活」なのかどうか。何をもってして「復活」なのかも微妙だ。
少なくとも、日本人として筆者自身はこのような「復活」を望まない。もちろん、そう感じるのは、筆者だけではあるまい。そもそも成長神話を奉ずるのをやめるべきだ。日本はもっとコンパクトで、世界にとってきらりと光る小国で良いではないか。
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