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「バリバラ」と「解説スタジアム」が示した地上波テレビの可能性

メディアゴン / 2016年9月3日 7時40分

茂木健一郎[脳科学者]

* * *

最近話題になった二つの番組、すなわち、NHK・Eテレ「バリバラ」24時間テレビの裏で放送されて、話題)、及びNHK総合「解説スタジアム」(「「どこに向かう 日本の原子力政策」)を見た。どちらも、素晴らしかった。それで、改めて考えたことがある。

日本の地上波テレビの劣化が指摘されて久しい。芸能人が内輪受けの話をして自分たちで受けていたり、テロップなどで汚い画面構成にしたり、視聴者をバカにしているような内容が多いとしばしば言われるが、これらの問題点は、テレビというメディア自体の本質ではない。むしろ制作ポリシーの問題だ。

地上波テレビというメディアに可能性があるのは、先に挙げた「バリバラ」や「解説スタジアム」がネット上で話題になり、結果として私を含め多くの人が視聴したことでもわかる。というのも、地上波テレビの「同時性」が、トレンドをつくる上で大きな力となるからだ。

【参考】<パソコン未所有と貧困は無関係>NHKが描く「貧困女子高生」のリアリティの低さ

原理的に言えば、どんなコンテンツでも、ネット上に置いて自由にアクセスすれば、それが良質なものであれば、最終的には視聴者数は伸びるかもしれない。しかし、地上波テレビの持つ、視聴がシンクロするという性質は、ツイッターなどでトレンドに上り、可視化される上で大きな意味を持つ。

「バリバラ」は、障害を持つ方をある図式に当てはめて「感動」を押し付ける「感動ポルノ」の構図を描いて素晴らしかったし、「解説スタジアム」は、日本の原子力政策をめぐる問題点を多角的、かつテクニカルに指摘して、素晴らしかった。本来、このようなコンテンツこそが、放送されるべきだろう。

地上波テレビの根本的な問題点は、「視聴質」ではなく「視聴率」を至上命題としてきた点にあるだろう。CM収入に依存してきた民放では、ある程度仕方がなかったことかもしれないが、ネット時代のテレビには、別のやり方があって良い。

「視聴率」ではなく、viewing figure(視聴者数)で番組を評価するようになれば、良いコンテンツをつくって、ネット上で評判にならないと始まらない。大して面白くもないのに、惰性でだらだら見られているような番組は、むしろ淘汰されるだろう。

「バリバラ」と「解説スタジアム」が、地上波テレビの持つ本来の可能性を示したことは、大変意義深い。二つの番組の制作陣は独立していたのだろうけれども、スタッフのみなさんに感謝するとともに、これからもそのような番組つくりを期待いたします。

  (本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)

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