朝日新聞が投稿欄で「NHKへの意見募集」を特集
メディアゴン / 2017年1月26日 7時40分
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
* * *
2016年12月から、朝日新聞が投稿欄でNHKへの意見募集、特集を行っている。本稿ではこれら「投稿」に対する私見を述べてみたい。
<投稿1「バラエティーは民放に任せるべき」>
最近はだいぶ改善されたが、NHKはスタジオバラエティ番組の作り方が、絶望的に下手な時代が続いていた。今でも「バラエティー生活笑百科」などは下手である。桂南光さんと、笑福亭仁鶴さんのW司会はどういう意図か。台本通りの割ゼリフ、これはドラマか。予定調和の会話は誰が気に入っているのか。
・・・ということからも、「バラエティーは民放」という意見が出てくるのだろうが、今、最も尖った先端のバラエティーをやっているのもまたNHKである(例Eテレ「バリバラ〜障害者情報バラエティー〜」、総合「サラメシ」など)ことも留意しておかなければならない。
民放のバラエティーは、最初に始めたテレビ東京のものを除いて、ニッポン大好きみたいな番組ばかりで気味悪い。いま民放は予算的に冒険する余裕がなくなっているので、バラエティーを民放に任せっきりにしてしまうと、斬新な企画が登場しなくなり、バラエティーは死滅する。多様性が進化に繋がるのは、生物と同じだ。
【参考】<パソコン未所有と貧困は無関係>NHKが描く「貧困女子高生」のリアリティの低さ
なお、NHKは「ブラタモリ」などのロケバラエティーには上手なスタッフがいる。画面を見ていると分かること。タモリと近江友里恵アナを取り巻いてゾロゾロ付いていくスタッフのなんと多いことか。
ロケものは「撮れ高(撮影した映像で放送に使えそうな部分)」勝負だから、物量作戦の出来るNHKが有利である。しかし、大名行列のような映像は反感を買うこともあるので最小限にすべきである。
<投稿2「耐えらない番宣の乱発」>
これは筆者としては多いに支持する。見ていて腹が立つほど番宣(番組宣伝)が多い。「鶴瓶の家族に乾杯」に「おんな城主直虎」の柴崎コウ、などというわかりやす過ぎるキャスティングはやめた方がよい。大体、NHKは公共放送でCMは御法度なのに自局の番組宣伝はNHKのCMではないのか。
番組宣伝なら普段はキャスティングできないような有名女優がバラエティーにもキャスティングできるし、番宣だと言えばギャラも叩ける。ゼロにも出来る、ということか。しかしながら、民放の同じ手法がテレビ離れを招いたのだからNHKは心するべし。
【参考】NHK「あさイチ」に届いた特集を全否定する視聴者からのFAX
個人的には素をさらさないで芝居をする役者が好きである。なんだかいまのところ、直虎は真生虎には見えず、柴崎コウにしか見えない。
<投稿3「クローズアップ現代+」を始めたのは取り繕いに見える。>
こちらも同感だ。NHKの政治報道は萎縮している。7時のニュースの直後に国谷祐子キャスターの「クローズアップ現代」が流れるから、問題意識が共有されるのである。取り繕い番組の方は、深みも足りない。いっそのこと、小野文恵アナウンサーの「週刊 ニュース深読み」を毎日7時半からやったらどうか。
・・・と、なると小野アナウンサーは過重労働になるので「ためしてガッテン」は降板させてさしあげれば良い。
<投稿4「まじめな番組でもお笑い番組風にアレンジするのはよろしくない」>
制作者は「撮れ高」を気にするから、それを高品位にするように工夫をする。ならば安直に芸人を入れれば良いと考える制作者がいるらしく、それが見透かされているような番組はダメだ。
お笑いは何でもダメ、という人もいらっしゃるが、笑い好きの筆者からすれば「笑いを上手に使っていない番組はダメ」なのである。これはタレントを使えば視聴率が上がると、未だにバカのひとつ覚えのように思っている民放の報道番組制作者にも発しておきたい警告である。
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