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<こずるい商売>交通反則者納金は712億円の売り上げ

メディアゴン / 2017年6月15日 7時30分

保科省吾[コラムニスト]

* * *

「こずるい商売」というのがある。分かりやすくするために類義語をあげてみる。

あくどい・えげつない・商道徳にもとる・しみったれた・みみっちい・卑劣な・二重基準による・詐欺的な・誠実でない・フェアでない・けち臭い・貧乏くさい・こすい・セコイ・抜け目ない・悪賢い・姑息な・欲得ずくの・・・つまり、「強欲な商売」のことである。

具体的な例を挙げる。

(1)お試し期間商法

ネット、新聞雑誌、テレビショッピングなどの通信販売でお試し詐欺が蔓延している。「お試し無料」や「お試し価格」をうたって商品をタダやワンコインで売る。消費者は1回だけのつもりだが、販売者側は定期購入の申し込みを受けたとして毎月勝手に商品を配達してくる。

抗議をすると、ごちゃごちゃ書かれている中に「自動更新の記載がある」と言う。確かめると米粒のような字で一番下の目立たないところに確かに書いてある。だから「お客さんの責任です」というわけだ。これを、「こずるい商売」と言わずしてなんと言おうか。業者は最初から引っ掛けるつもりでやっているのだと思わざるを得ない。

【参考】<レシピ動画の限界>ありきたりな料理を無理やりフードポルノにするオワコン感(http://mediagong.jp/?p=23107)

テレビショッピングなどの被害もあるが、テレビなど画面が直ぐに消えて、断り書きが確かめようもないのだから解約できるのではないかと思うがそうはなっていない。解約できないのである。

「クーリング・オフ」という一定期間内であれば無条件で契約を解除することができる消費者を守る解約制度がある。だが、この制度に適用されるのは、「訪問販売」「電話勧誘販売」などであり「通信販売には適用されない」のである。

(2)解約が困難商法

スマホの契約に行く。すると「今このサービスを契約して頂けば、本体の購入価格を安くすることが出来ます」などと言う。「必要ないなら解約して頂ければ良いですから」と解約をも進める口ぶりである。「必要ないものを進めるのは不思議な商売だ怪しい」「安くなるなら契約するが、必要なければ絶対解約するぞ」と硬く心に誓う。

しかし、だ。後日解約しようとすると、これが実に面倒くさい段取りである。30分かかっても解約できない。あきらめて人に聞こうと思っているうちに次の契約期間にはいっていて金を取られた。

(3)広告ミスタップ商法

スマホやPCのラジオボタンのとなりに配置されているネット広告。この広告が配置される位置がくせ者だ、本来必要なボタンにいかに近く、いかに間違って押してしまいやすい場所に表示させるかがテクニックだ。広告というよりは、もはや、ミスタップ、ミスクリックを誘導しているだけである。

(4)交通警察の取り締まり商法

交通警察の引っかけ取り締まり。これにはまったドライバーは多いのではないか。たとえば、たいへん安全で見通しのきく道の合流地点、徐行して止まって確かめて合流しようと車を進める。

すると、隠れてきた警官が3人ばらばらと飛び出してきて「止まって止まって。あなた今一時停止線、止まらなかったですよね」「罰金です、免許証見せて」捕まった方は、かーっと頭に血が上る、あるいは「ハメられた」と思う。

ドライバーとして一番大人の対応は、サインをして反則金を払うことであろう、それが時間的にも最も面倒がない。だが待て。こんな「こずるい商売」を放置しておいて良いのか。

交通取り締まりは商売ではないとおっしゃるかも知れないがこんなデータはどうか。総務省は平成26年度の歳入概算見積書の中で交通反則者納金として712億円の「売り上げ」を見込んでいる。

売り上げを当て込んで組む予算はあるが、反則金を当てにして組む予算などあるものか。これでは「出来るだけ違反をして欲しい、営業マンは(警官は)売り上げ目標に達するようにノルマを達成せよ」と解釈できる。それで、こそこそ隠れてこずるい取り締まりをする訳なのである。

交通違反は隠れて取り締まるよりも、堂々と姿を現して、取り締まった方が減るというデータもある。ただ、それだと「こずるい商売」は出来ないだろう。

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