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<安倍小学校問題>国有地激安取得は巧妙に仕組まれたストーリー?-植草一秀

メディアゴン / 2017年2月25日 7時25分

植草一秀[経済評論家]

* * *

国有地が森友学園に激安価格で払い下げられた「アベ友事案」が「アベ友事件」に発展する日は遠くないと思われる。

事実関係の片鱗でも知る関係者が、真相を告発することが真相解明には近道である。

2016年6月20日に、不動産鑑定評価額9億5600万円の国有地が地下埋設物撤去及び処理費用が8億1974万円と算定され、この金額を控除した1億3400万円で森友学園に払い下げられた。しかも、その支払いは、1億3400万円の一括払いではなく、2164万円の頭金と2017年5月から2026年5月までの10回にわたる、毎年1120万円(概数)の分割払いとされた。

2015年5月29日に締結された森友学園と近畿財務局との間の「土地の買受け特約を付した有償貸付契約」での月額賃料は227万5000円だった。年額は2730万円である。森友学園が10年後に売買予約完結権を行使する場合、森友学園の支払額は賃料総額2億7300万円プラス土地代金(更地として評価額)ということになる。それが、2164万円の頭金と1年あたり1120万円の分割払い10年で土地を取得できることになる。

これだけではない。2015年7月29日から12月15日までに実施されたとされる、土壌改良、埋設物撤去工事代金として、国は2016年4月6日に1億3176万円を森友学園に支払っている。国と森友5600万円の国有地を森友学園に譲渡したのに、224万円しか受け取っていない。

しかも、譲渡価格1億3400万円のうち、すでに受領しているのは2164万円だけである。現金収支では、評価額9億5600万円の土地を森友学園に渡した上、現金1億1012万円を渡していることになる。

問題になるのは、国が9億5600万円の評価額の国有地を1億3400万円で譲渡したことである。国は、地下埋設物撤去及び処理費用を8億1974万円と算定し、この金額を控除して譲渡価格を1億3400万円としたとしているが、常識的に考えて控除費用が過大である。8億1974万円の埋設物処理費用の算定は国交省大阪航空局が行ったとされている。

算定根拠は、校舎が建つ場所を中心に敷地の約6割にあたる5190平方メートルを対象とし、杭を打つ場所は深さ9.9メートルまで、その他は深さ3.8メートルまでにあるごみを1万9500トンと推計し、すべて撤去・処理する費用を8億1900万円としたとのことである。

小学校建設工事着工予定日は2015年12月14日だったとされる。そして、2016年3月11日に小学校建設工事現場の地中深くから新たに廃材やプラスチック、家庭ごみなどが見つかったと学園が近畿財務局に連絡したとされる。

そして、3月14日には近畿財務局、大阪航空局、現地関係者が現場を視察したと伝えられている。これが事実だとすれば、驚くほど迅速な対応である。そして、3月24日、埋設物対策・早期開校のため、学園が近畿財務局へ土地を買い取りたい旨を申し出たという。

このことについて、森友学園の籠池泰典総裁は、2月20日のTBSラジオ番組に出演して、借地から土地購入へと切り替えた理由について、地下からゴミ(廃棄物)がでてきたため、「第六感」が働き、「賃借料が安くなるだろう」「それなら購入金額も安くなるのでは」と思ったと述べた。

また、地下埋設物の撤去について籠池氏は、「建物のところに関しては、ほとんど完了している」と説明した。「建物のところに関してはほとんど完了」と述べているが、これが、2015年に実施した土壌汚染対策を指すのか、2016年の小学校建設工事期間に実施したとされる埋設物撤去工事を指すのかは定かでない。

このようなプロセスが法的に何の問題もないということになると、国有地を活用した「濡れ手で粟公金詐取」が一斉に広がることになるだろう。

地下に埋設物がある国有地を物色する。そこに学校建設等の事業を申請し、国と不動産定借契約を締結する。開校期日を定めて、時間が切迫するなかで地下埋設物を発見する。これを盾に国有地購入を申し出て、埋設物撤去費用を控除した激安価格で国有地を取得する。全国のいたる所で、国有地取得による億万長者が続出することになるだろう。

重要なことは、国有財産を管理する国の管理責任者が、国有地を売却する際に国に損失を与えないための、善良な管理者の注意義務=善管義務を負っているということだ。地下埋設物処理費用を過大に見積もり、国有地を不当に低い価格で売り渡すことは、国、すなわち国民に損害を与える行為になる。

これを回避する責任を国の管理責任者が負っているのである。

一連の経過を見ると、すべてが巧妙に仕組まれた国有地激安取得のストーリーに沿って動いた疑いが浮上する。

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