<物故作家の作品は売れない?>作家と作品の距離は遠ければ遠いほど良い
メディアゴン / 2017年3月20日 7時30分
茂木健一郎[脳科学者]
* * *
創造性とは、自分の中から何らかの「作品」が生み出されることである。
自分自身は「一人で世の中を流通する」といってもその様態には限界があるが、作品は自分から離れて流通することができるから、ある意味では自分を超えている。
すぐれた創作物は、世の中に出た時に自分から独立する。「あの人がつくった」という注釈なしで、すっくりと立っている。つまりは自分自身ではないものを生み出すのが、創造のプロセスなのである。
創造者から独立して存在し得るからこそ、創造物は価値を持つ。逆に言えば、たとえばモーツァルトの作品と本人の間にギャップがあるように、生み出した人と作品の間に距離があるものほど、信頼することができる。
【参考】もったいぶった大人ほど「創造性」から遠い
『接吻』などのクリムトの作品と、猫を抱いてこちらを見ている本人の有名な肖像写真の間にギャップがあるからこそ、ああ、このひとは本物なのだと信頼できる。逆に、いかにも、らしい、という作品は超えていないことが多い。
作品と本人の間にギャップがあるということは、つまり、作品とは時にしてデトックスなのかもしれない。本人にとって「毒」のようなもの、もはや体内にとどめておけないものを排出することが、結果として作品になるのである。
物故作家の作品はとたんに売れなくなると編集者たちは経験則から言う。作家が生きている間は本人というエンジンがあるが、亡くなってしまうと作品が独り立ちできていないのだろう。
作家と作品の距離は、遠ければ遠いほど良い。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
平野啓一郎、「1つの死刑」で痛感した人生の偶然性 「異世界転生もの」流行の裏にある現代人の感覚
東洋経済オンライン / 2024年11月24日 8時0分
-
エッセイと小説はどう違う? 対談 小池真理子×川上弘美
文春オンライン / 2024年11月19日 18時0分
-
『ココでのはなし』こささりょうま監督インタビュー「セリフ一つ一つに真剣に向き合っているからこそ」俳優・吉行和子の姿勢に感激
ガジェット通信 / 2024年11月13日 9時0分
-
本気のサステナビリティをアートで発信|廃棄物を用いた現代アート公募「ACTA+ ART AWARD 2024」にてファイナリストが参加する最終審査会と作品展を開催します。
PR TIMES / 2024年10月29日 18時15分
-
風間俊介「僕は自分の黒いところも好き」 タブーに挑んだ衝撃作「モンスター」で見せる光と闇【インタビュー】
エンタメOVO / 2024年10月29日 8時0分
ランキング
-
1県議会自主解散など要求=維新、兵庫知事選を総括―吉村共同代表
時事通信 / 2024年11月24日 15時35分
-
2ビシネスホテル“強盗” 自称会社員の少年を逮捕 群馬・高崎市
日テレNEWS NNN / 2024年11月24日 13時15分
-
3強盗致傷事件被害品のクレカを受け取った疑いで21歳大学生を追送検…SNSで闇バイトに応募
読売新聞 / 2024年11月24日 16時51分
-
4「“確率”の問題は“数学I”の範囲外」 受験生の指摘で発覚 島根県立大学の入試で出題ミス 島根県出雲市
日本海テレビ / 2024年11月24日 11時51分
-
5党員不適切登録の自民・田畑裕明衆院議員、社員が架空党員にされたか尋ねた社長に「党費はあなたが払ったことにして」
読売新聞 / 2024年11月24日 10時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください