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<2018年NHK大河ドラマ>林真理子原作・中園ミホ脚色で西郷隆盛はどう描かれる?

メディアゴン / 2017年6月19日 7時30分

高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]

* * *

NHKが2018年に放送する大河ドラマ第57作は林真理子が『本の旅人』(KADOKAWA)に連載中の『西郷どん!』が原作である。連載終了がいつになるかは知らないが、まだ書き続けられている小説を脚色するのは売れっ子脚本家・中園ミホ。

筆者は久しぶりに大河を見ようという気になっている。理由はまず、時代が幕末・維新であること。主人公が大西郷と呼ばれた日本史上で、もっとも有名な男子の一人であることなどである。第55作の『真田丸』と56作の『おんな城主 直虎』は大河らしくない軽みを感じた。

一体どんな西郷隆盛像になるのか。

林真理子の原作にその片鱗は見えるはずだが、ちょっと恐ろしくて読んでみる気がしない、なぜ恐ろしいか。それは、西郷と関わった女性との愛が描かれていたりすると、ちょっとイメージが狂ってしまうからだ。

脚色するのが女性脚本家だからドラマも女性の興味で描かれる可能性はある。そのあたりが心配だ。筆者はぐいぐいと維新を引っ張っていく西郷が見たい。もちろん、西郷隆盛と聞いて、そう期待している視聴者も多いのではないか。

【参考】<若いブサイクがいない?>イケメンばかりでは日本のドラマはダメになる

歴史の基礎知識を反芻するために男性作家が維新を描いた小説を読んで見た。西郷と言えば同郷出身の権威、海音寺潮五郎の『西郷と大久保』(1967・新潮社)。小説だが時々、作者自身が顔を出して解説を加えてくれる。用語が難しいが心躍る作りだ。

そして定番と言えば、司馬遼太郎の『竜馬が行く』(1963・文藝春秋)。読みやすく、つるつる読める。が、いささか竜馬を持ち上げすぎに感じる。

筆者が大好きな作家・吉村昭の作品が『黒船』(1991・中央公論社)。吉村昭は史実を書く作家である。しかし、史実で埋まらないところを作家の想像で描くことが「最も楽しみだ」と言う吉村昭の文体や話の運び方は魅力的だ。

痛快無比、天衣無縫の作風、山田風太郎の『修羅維新牢』(2011・ちくま文庫)はフィクションの楽しさを味わえる小説である。

 NHKの2018年大河ドラマ『西郷(せご)どん』は、もちろん林真理子タッチで描かれるのであろう。しかし、筆者としてはやはり史実に裏付けられつつも、男心を躍動させるような幕末維新モノを、ズバり書いてしまえば吉村昭タイプの西郷隆盛が見たいと思うが、果たしてどうなるか?

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