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<安倍政権は嘘まみれ?>中谷前防衛相「あいうえお助言」が示す安倍総理の不誠実

メディアゴン / 2017年6月20日 7時40分

両角敏明[テレビディレクター/プロデューサー]

* * *

 「きちんとした回答をいただけていると思わないので、繰り返しうかがっています。」

菅官房長官は6月8日の定例会見でいわゆる「総理のご意向文書」について出所不明の怪文書のようなものだから再調査は必要ないと繰り返しました。それでも質問を浴びせ続ける記者たちに事務方から「同じ主旨の質問はやめていただきたい」と注文がついた時、ひとりの女性記者が敢然と発したこの言葉に、さすがの菅官房長官が動揺の色を見せました。

これこそ頑なな政府が世論とマスコミに押し返された瞬間でした。この印象的なシーンがテレビで伝えられ世論は動きます。この女性記者は東京新聞社会部の望月衣塑子記者と言われています。

その後、共謀罪の強行採決、文科省、内閣府の調査結果発表などがあり、16日午後には申し訳のような参議院予算委員会が開かれました。

実はこの委員会審議では政府側に目を見張るほどの変化があったのです。政府側答弁、とりわけ安倍総理の態度から傲慢さが失せ、なぜかかなりまともになったのです。

相当なヤジが飛んでも、いつもの「みなさんヤジはやめて下さいよ。まじめに答えようとしているんですから。」というわざとらしい常套句がなくなりました。「ヤジはやめて」と言いながら平気で飛ばしていた総理自身のヤジもなくなりました。

「それは印象操作だ」と決めつけるお得意の「印象操作」もなしです。自席で、ときには発言中も浮かべる野党を小馬鹿にしたような薄笑いもありませんでした。世論やマスコミの反発の強さが安倍一強の傲慢さに冷や水を浴びせたのでしょう。

【参考】<山口敬之氏重大事案>深層徹底解明が不可欠

自民党の某若手議員が「安倍政権は調子に乗っている」と言ったという報道がありましたが、朝日新聞が言うように安倍政権は「認めない」「調べない」「謝らない」の3ない方針で野党、マスコミ、民意を軽んじ、国会を蹂躙してきました。

もしいささかの時間の余裕がおありなら、衆議院、参議院のインターネット中継のライブラリーをご覧になってみれば、テレビの編集された映像では見えない審議ぶりのひどさを確認することができます。

まず質問にまともに答えません。イエスかノーで答えるべき質問にもだらだらとしゃべってはぐらかし、結局はイエスともノーとも言わず時間を稼いで終わります。これは政治家にも役人にも共通する常套テクニックです。国会の審議が深まらないのは膨大な時間がこうして浪費されているからでもあります。

求められてもデータは出しません。会議とは出席者全員に正しいデータが提供されてはじめて正常な議論が可能になるはずです。森友問題で質問者が資料を出すように求めたところ、役所は資料はないと答えました。質問者が、ならば担当者に聞き取りで調べて欲しい、と求めたところ、役人は「その必要はないと考えてございます」と言い放ちました。

選挙で選ばれ、国政調査権を持つ国会議員の要求について、必要か必要でないかを判断するのが役人とは知りませんでした。言葉は丁寧ながら安倍政権の威を借りて強引なデータ隠しをする役人が目立ちました。

【参考】前川元次官の出会い系バー通いは本当に「女性の貧困の視察」のためかもしれない

今回の「総理のご意向文書」も、もし前川前次官が身を挺して「確実に存在する」と断言していなければ文科省は調査していませんから、文書はなかったことになっていました。このことを忘れてはなりません。安倍政権下における国会の重要な審議は、あるはずのデータを出さないままに議論され、その空疎な結果を国民に強いています。

ウソも平気でつきます。ひとつ例をあげます。6月5日の衆議院決算行政等監視委員会における安倍総理の発言です。

 「広域的に獣医師養成系大学等の存在しない地域に限る、1校に限るという要件は(中略)獣医師会などから要請があったんです」

しかし一ヶ月ほど経った後、山本地方創生担当大臣は記者会見で、

 「獣医師会から広域にしてくれなんて話は確かにございませんでした」

とあっさり否定しています。安倍総理発言は虚偽答弁のような気がするのですが。考えてみれば怪文書発言や前川前事務次官の人格を貶める印象操作発言も、国のツートップによる真偽を確認しないままのいい加減な発言でした。

そもそも安倍政権の成り立ちもかなりウソまみれです。2014年の衆院選では消費税率UP見送りの是非を争点としました。選挙するまでもない当たり前の話ですから有権者の関心は薄く、投票率は52.66%でした。

この選挙で安倍自民党は「安保法制」も「特定秘密保護法」も前面に出さずに議席を獲得すると、その多数を持って国民過半が反対の法案を強引に成立させました。2016年の参院選もまったく同じ手を使いました。経済再生、女性活躍などを公約に多くの議席を獲得すると一転して、選挙では言わなかった共謀罪や憲法改正に大きく踏み出したのです。衆参改憲勢力2/3はこの2回の選挙の結果です。

ひと言で言えば、安倍政権および自民党の国会運営、審議の進め方はそうとうに不誠実です。その事実の一端は、衆議院、参議院のインターネット中継のライブラリー、特に森友、加計、共謀罪などの委員会審議をご覧になることでご理解いただけるのではないでしょうか。

もうひとつ、自民党のお仲間内からの助言という形で安倍総理の真実を突いた言葉を改めて記しておきます。安保法制を通した時の防衛大臣・中谷元氏から安倍総理への「あいうえお」助言です。

 <あ>あせらず
 <い>いばらず
 <う>うかれず
 <え>えこひいきせず
 <お>おごらず

謙虚な人に向かって「いばらず」と助言する人はいません。ですから、お仲間内から見ても今の安倍総理は、焦っており、威張っており、浮かれており、依怙贔屓しており、驕っている、のです。

とりわけ依怙贔屓には極めて強い説得力がありますが、この「あいうえお助言」にはひとつだけ直した方が良さそうなところがあります。「う」はぜひとも「うそをつかず」にしていただいた方が世の中のためになりそうです。

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