<細かすぎて伝わらないモノマネ選手権>おもしろいから笑うのではなく「笑うからおもしろい」
メディアゴン / 2017年12月24日 7時40分
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
* * *
終了が決まったフジテレビ『とんねるずのみなさんのおかげでした』。12月21日(木)の放送で名物コーナー「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」の最終回だけを見た。
とんねるずの笑いは肌に合わないので、あまり見る機会がない中で、このコーナーだけはこれまで積極的に見てきた。その理由は「細かすぎて・・・」が企画としてすぐれていると感じていたからである。主な理由は以下の4つだ。
(1)とんねるずを前面に出すのをやめた点
(2)ものまねというふんぎりの悪い芸を、物理的な芸人の落下というシステムで、まさしく落ちを付ける構造にした点
(3)ショーパブ通いやオーディションを繰り返すことによって才能の発見に時間を惜しまず使った点
(4)「細かすぎて伝わらない」というコンセプトを確立しようという明確な企画意図があった点
・・・などである。これまでの回では、数多くのネタが登場する中で、全く分からないものもありながらも必ず、1つか2つはツボにはまって笑ってしまうネタがあったのも、これまで見続けてきた大きな理由であった。
ところが、今回は残念ながらつまらなかった。少なくとも筆者には、ひとつも笑えるネタがなかった。
【参考】フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「細かすぎて伝わらないモノマネ」はもう見限る潮時
その代わりに目立っていたのが、とんねるず、バナナマン、古田新太、関根勤、本田翼といった鑑賞者たちが笑っている場面だ。喜怒哀楽のような感情(正確には情動)について、私たちは普通、「悲しいから泣くのであり、腹立たしいから殴るのであり、怖いから震えるのである」と思っている。
しかしながら、心理学者ウィリアム・ジェームスは逆だと述べる。「泣くから悲しいのであり、殴るから腹立たしいのであり、震えるから怖いのである」という説だ。身体反応が先で情動は後であるというのだ。これはジェームス=ランゲ説と言われ、多くの心理学者も賛成した。最近の脳科学の知見もこれを支持している。
そういう意味では、「細かすぎて・・・」のスタッフはジェームス=ランゲ説を知ってか知らずか、結果的に応用していたのである。テレビの中の人が笑えばテレビを見ている人もつられて笑う。笑うから見ている人はおもしろい(と感じる)。
とんねるず、バナナマン、そして細かすぎるものまねの元祖とも言うべき関根勤ら、このスジの権威者が大声で笑う。日本人は特に権威者に弱いからあわせて笑わないといけないような気になる。そして大声で笑い、笑えばおもしろい(と感じる)。
そう考えれば、「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」が考え抜かれた企画だったことは明らかである。そして、それが今回おもしろくなかったということ、言うなれば単純な「ネタ切れ」なのであろう。
ネタは何年か経ってあたらしい芸人が生まれ、あたらしい有名人が生まれれば自然に集まってくる。その時はまた「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」のアレンジ企画が生まれるだろう。しかし、司会はとんねるずの時代ではなくなっているだろう。
それがまたテレビらしいところでもある。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
とんねるず×バナナマン「共演NG説」は本当か? 女性週刊誌が再び報じ業界ザワザワ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月1日 9時26分
-
コロッケも電撃参戦!大盛況のフジ『2億4千万』を振り返る【出演者&披露したものまね一覧】
ORICON NEWS / 2024年10月24日 19時0分
-
天海祐希が阿部寛モノマネ芸人に“禁断”のツッコミ「何言ってるか分からない…」石橋貴明も爆笑
日刊スポーツ / 2024年10月20日 11時19分
-
ラパルフェ都留、令和にあご勇ものまね 石橋貴明もうなる「なつかしい」
ORICON NEWS / 2024年10月19日 21時27分
-
石橋貴明『27時間テレビ』成功で“フジ復活”期待「若い力が出てきたら盛り上がる」
ORICON NEWS / 2024年10月10日 5時0分
ランキング
-
1大谷翔平はWSインタビューを“拒絶”、日本シリーズからも“追放”のフジテレビが払う大きすぎる代償
週刊女性PRIME / 2024年11月2日 7時0分
-
2橋本環奈のパワハラ疑惑のこと? 嵐・二宮和也の正月番組のワンシーンが視聴者の間で物議
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月2日 9時26分
-
3元TOKIO山口達也さん、再婚発表 お相手は一般企業に勤める会社員「命がけで生きてゆくつもりです」【全文】
モデルプレス / 2024年11月2日 12時30分
-
4銀シャリ・橋本直が細かく語るお笑い論「ツッコミって、怒りを鎮めるレクイエムです」
NEWSポストセブン / 2024年11月2日 7時15分
-
5「これじゃあ公開処刑」木下優樹菜、“盗撮やめろ”と撮影者 “逆晒し” にやりすぎと非難の声
週刊女性PRIME / 2024年11月1日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください