<R-1ぐらんぷり2018>同情ではなく話芸で優勝したほぼ全盲の芸人・濱田祐太郎
メディアゴン / 2018年3月11日 7時30分
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事]
* * *
「同情票を集めて優勝したら嫌だなあ」そうずっとそう思いながら、3月6日放送の『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)決勝戦で、ほぼ盲目の漫談家・濱田祐太郎(28)を見つめていた。
濱田は、そんな危惧を吹き飛ばして、堂々の優勝であった。ネタの面白さでの優勝であった。しかも、マイク一本で喋る王道の漫談である。すばらしい。
そもそも、他人から欠点としてみられる自分の特徴をネタにして笑いを取る手法は昔から多い。簡単に笑いがとれるからである。ハゲ、デブ、チビ、ブス・ブサイク、オタク、行き遅れ(これは今セクハラと判定されるだろう)、鬼嫁、貧乏。ジミー大西の無知。小人プロレスだって笑って欲しい。見た目の「欠点」は笑いに直結しやすいのである。
【参考】<R-1でパクリネタは許せない>新人ではない芸人がなぜパクリに走るのか?
横山やすし・西川きよしは、目が見えない(近眼)を笑いに使っていた。きよしがやすしの眼鏡を懲罰的に取り去ると、やすしが「メガネ、メガネ」と探す名ギャグだ。よく考えてみれば「それは笑って良いモノなのか?」と迷うことなのかもしれないが、やすし・きよしの芸の力によって「笑ってよいモノ」に仕上がっていった。
濱田祐太郎はおしゃべりの中で「迷ったら笑っていい」ということで見事に客のリミッターをはずす。盲学校に「黒板があった」ことや、「先生が線のところに並びなさい」と、生徒に言うことは「笑って良いこと」なのだ。
濱田祐太郎はこれで、長く活躍できる芸人になったはずだ。優勝したからには「目が見えないネタ」の比率を次第に少なくしていって、ネタの勝負所で効果的に使う方向に持っていけば、ドンドン息の長いの芸人になるだろう。
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