女性記者セクハラ問題の報道検証の「肝」はコレだ!
メディアゴン / 2018年4月24日 7時30分
上出義樹[フリーランス記者/上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ]
* * *
<手をこまねく新聞やテレビに代わりミニ検証>
福田淳一財務次官の女性記者セクハラ問題で主要メディアは、当のテレビ朝日を含め、ジャーナリズムの原則に立った検証を行い、今回のセクハラ問題の本質を分かりすく読者・視聴者に示そうとの姿勢が依然、全く感じられない。
そこで僭越ながら、筆者(上出)がマスメディアに代わって、女性記者セクハラ問題の報道のミニ検証を試みた。
<問題の核心は被害者が公共的使命担うメディア企業の社員である点>
今回のセクハラ問題の肝は、被害者が取材源秘匿の責任を負うメディア企業の社員でもあり、そのメディアは公共的な使命を担っていることである。この論点さえ押さえていれば検証は比較的容易なはずだ。ところが、新聞やテレビは福田次官の追及や財務省批判などをほとんどワイドドショー的なノリで報道し、この特異な問題の核心を突く報道がない。
【参考】<福田次官セクハラ問題>女性記者セクハラ報道の手心と他人事
<読者・視聴者に今回の特異なセクハラ問題の本質が分かる情報を>
教養人で知られる俳優の石坂浩二氏が21日のテレビ朝日のニュース番組で、「今回のセクハラ問題は、実は何が何だかよくわからないところがある」と感想を語っている。おそらく生煮えの捉え方が多い読者・視聴者が、今回のセクハラ問題の特殊性を理解するのは難しいかもしれない。
しかし、報道機関はこの問題をメディア全体の重大事態と受け止め、上記の論点などを分かりやすく整理した検証、あるいは最低でも解説を示す責任がある。
<テレビ朝日の「取材源秘匿」の大原則逸脱なども平易に説明できるはず>
多くの民間企業で被害女性がなかなか名乗り出られないセクハラ問題の罪悪性や全体状況と同時に、「自局で放送すべき」とする女性記者に待ったをかけ、セクハラの音声データを結果的に記者が他のメディア(週刊誌)に情報提供して、ジャーナリズムの大原則である「取材源の秘匿」を逸脱したテレビ朝日の過ちなど、大切なポイントを主要メディアなら、その気さえあればきちんと説明できるはずだ。
<検証に背を向ける報道機関は国民の知る権利に対する怠慢>
ただ、他社が絡むこの種の問題には深入りしないとの悪しき風習が日本のマスメディアには強い。もし、何もしないようなら国民の知る権利に対する怠慢と、言わざるを得ない。
この記事に関連するニュース
-
「投稿で二次被害」と追加請求 沖縄・南城市長のセクハラ訴訟で
共同通信 / 2024年5月9日 16時20分
-
祖父は「原発デマ」で生きる希望を失った…福島在住ライターが「原発事故を利用する人々」に怒りを隠さないワケ
プレジデントオンライン / 2024年5月7日 10時15分
-
なぜテレビは万博を「美談」で誤魔化すのか…元テレ東社員が指摘する「大阪万博と東京五輪」の不気味な共通点
プレジデントオンライン / 2024年4月27日 10時15分
-
いま、ニュースに求められるものは何か。アメリカで20万部以上売れ、25を超える言語に翻訳された世界的ベストセラー『ジャーナリストの条件 時代を超える10の原則』本日発売!
PR TIMES / 2024年4月26日 14時40分
-
「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由 STARTO社とSMILE-UP.社の「切り離し」が焦点
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 16時30分
ランキング
-
1みそ汁に虫が混入 給食の提供を中止 野菜を4回以上洗浄したが除去できず 浦添市の7小学校
沖縄タイムス+プラス / 2024年5月9日 6時59分
-
2五輪マラソンメダリストを書類送検、駅構内で駅員らに平手打ちか…ケニア国籍のワイナイナ元選手
読売新聞 / 2024年5月9日 13時20分
-
3環境省、大臣に批判やまず 「大きな問題になるとは」
共同通信 / 2024年5月9日 19時21分
-
41都3県で余罪200件か 横浜市のマンションに侵入しバッグなどを盗んだ70歳の男を逮捕 集合住宅の1階や2階の無施錠の窓から侵入し犯行繰り返す 神奈川県警
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月9日 11時4分
-
5「自傷するなら山奥で」 精神科看護師が患者に暴言
共同通信 / 2024年5月9日 21時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください