セクハラ問題に見る「報道の自己規制」
メディアゴン / 2018年5月7日 7時30分
上出義樹[フリーランス記者/上智大学メディア・ジャーナリズム研究所研究スタッフ]
* * *
<財務省が福田前次官のセクハラ行為を認定しメディアも一気に幕引きの様相>
福田淳一前財務次官によるセクハラ問題は、本人否定のまま財務省が4月27日、前次官のテレビ朝日記者へのセクハラ行為を認定。同省の「調査打ち切り」を受けるように、大手メディアは一気に幕引きの様相を強めている。
<取材源秘匿などジャーナリズムの原則に立った検証の気配なし>
今回のセクハラ事件の核心は、被害者が取材源秘匿の責務を負うメディア企業の社員であるという特異性である。そこで拙稿でも何度か、メディア全体の重大問題として、ジャーナリズムの原則に沿う検証を報道各社に促してきた。
【参考】女性記者セクハラ問題の報道検証の「肝」はコレだ!
しかし、当のテレビ朝日を含め検証の気配など全くなく、逆に各社の紙面から見えてきたのは、決定的な関係悪化は避けたい主要な取材源の財務省や安倍晋三政権への手心や気遣いである
<「親安倍」で知られるテレビ朝日会長に管理職が「忖度」との指摘も>
元朝日新聞記者の河谷史夫氏は、テレビ朝日が女性記者の願いに反して自局でセハラ事件を報じなかった背景に注目。電子評論誌「メディアウオッチ100」(4月23日号)で、同社の早河洋会長が「安倍首相と折あるごとに会食している『親安倍マスコミ人』」であることに言及し、「管理職の誰かが『忖度』したとも考えらえる」と重要な指摘をしている。
<今回のセクハラ問題で浮かび上がった「報道の自己規制」>
政治権力との根深い癒着、検察や大企業などからの直接間接の圧力により、記事やニュースをボツにしたり、手心を加えたりする行為を私は、「報道の自己規制」と呼んでいる。
権力に弱い日本のマスメディアの負の体質の核心だが、今回のセクハラ報道は、この「報道の自己規制」が如実に体現された事例とも言える。
この記事に関連するニュース
-
小泉進次郎氏の好感度を上げただけ…フリー記者の「知的レベルの低さで恥をかく」質問に抱く"強烈な違和感"
プレジデントオンライン / 2024年9月11日 17時15分
-
朝日新聞「自民裏金」での新聞協会賞に「辞退せよ」殺到の理由…「しんぶん赤旗」社会部長もXで苦言
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月10日 9時26分
-
「ここが問題の核心」橋下徹氏が呆れた斎藤知事の“犯人探し”「権力持ったらあかん人」
東スポWEB / 2024年9月6日 19時17分
-
税務調査にささやかれる“黒いウワサ”…メディアが「財務省の批判」を徹底的に避けるワケとは?【森永卓郎の見解】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月1日 11時15分
-
自民党はなぜ浮かれているのか? 映画「マミー」と「正義の行方」の違いとは? 「ロフト9」で日本における問題提起続出│プチ鹿島
TABLO / 2024年8月29日 15時0分
ランキング
-
1浸水想定区域に建てられた仮設住宅が被害 「言葉にならない」
毎日新聞 / 2024年9月21日 17時38分
-
2大雨の輪島「流木でひどい状態」 複数の不明者情報、被災者らも避難進める
産経ニュース / 2024年9月21日 15時24分
-
3「裏切られた」 国の控訴方針に原告ら落胆 長崎・被爆体験者訴訟
毎日新聞 / 2024年9月21日 20時51分
-
4石川などで4800戸停電、ライフラインに大きな影響…林官房長官「災害応急対策に全力」
読売新聞 / 2024年9月21日 15時4分
-
5好みの女子大生を尾行、袋かぶせ首絞める 39歳会社員逮捕
産経ニュース / 2024年9月21日 10時33分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください