<スマホで簡単に音楽制作>多様化・多機能化する電子音楽アプリが熱い!
メディアゴン / 2018年5月4日 7時30分
矩子幸平[ライター]
* * *
スマートフォンやタブレットで手軽に、そして本格的に音楽プレイを楽しむことのできる電子音楽アプリが数多くリリースされている。ユーザー層もアマチュアミュージシャンから世界的に有名なミュージシャンまで幅広い。アプリだけで音楽制作もできてしまううえに、スマホだけでミュージックライブまで楽しめてしまう。急速に多様化する電子音楽アプリが今、熱い。
最近の電子音楽アプリの特徴は、おもちゃ的なアプリとして手軽に楽しめる・・・というだけでなく、有名なミュージシャンもこぞって作品を発表しているということ。例えば、バンドマンとして活躍している俳優・浅野忠信もiPhoneアプリ「Garage band」を使ってアルバムをリリースしている。もちろん、他にも電子音楽アプリを使って作品を発表しているクリエイターは少なくない。
その中でもユニークな電子音楽アプリが「Reactable Mobile」である。「Reactable Mobile」は、世界的なミュージシャンであるビョークが使用して話題となった次世代電子楽器「Reactable」を元にしてできた電子音楽アプリである。このReactableはスマホの画面上で、キューブを動かすことによって演奏ができる。エフェクトをかけたり、音をミュートしたりと、スマホ画面のキューブをスワイプするだけで多彩な音色を楽しむことができる。
他にも、著名な音楽家ブライアン・イーノが、アルバム『Reflection(リフレクション)』をiOSアプリ版で2017年に発表している。このアルバムは完成した音楽作品としてリリースされたものとはなるが、アプリを開くたびに音楽の印象が変化するといった電子音楽アプリの可能性をさらに広げたものとなっている。
このことからもわかるが、世界的にも有名な音楽家までもが、これらの新しい動きに注目しているともいえる。
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「Garage band」、「Reactable Mobile」をはじめ、この他にも「Bloom」、「TC-11」などユニークなインタフェースや音作りを手軽に楽しむことができるアプリが様々に提供されている。このような電子音楽アプリをスマホに入れておくだけで、クオリティーの高いライブや楽曲制作をいつでもできてしまう。ほんの数年前まで音楽ソフトといえば高額で操作も難しいものばかりだったことを考えると、その進化には目をみはるものがある。
もちろん、電子音楽アプリを体験したり楽しむイベントなども続々と登場している。大規模なものといえば、2016年6月にお台場の日本科学未来館で開催された「Björk Digital−音楽のVR・18日間の実験」などが記憶に新しい。このイベントでは、最先端の電子音楽アプリを体験コーナーで直接触れ、ユーザーが音楽の理論、テクノロジーやプロセス、構造などを体験できることで話題となった。
小規模なものであれば、クラブやギャラリー、イベントスペースなどを利用した音楽イベントなどでiPhoneを使うDJも登場しているし、美術展やアートイベントと音楽を組み合わせたような分野では、スマホを効果的に利用して楽しむイベントは増えてくるだろう。最近では、初心者向けの「楽しむためのワークショップ」のようなイベントも登場しはじめている。
その中の一つ、5月11日に東京都港区六本木のイベントBAR「WEIRD BAR(ウイヤードバー)」で開催される「ウイヤードラボ〜オト かえる カラダ〜」は、「iPhone、iPadなどのスマホの音楽アプリを使った即興演奏のワークショップ(基礎編)、とホストミュージシャン、ダンサー交えてのライブ、セッション」というコンセプトで2回目を迎える。1回目から評判は上々で2回目への問い合わせも多いという。WEIRD BARの今村治樹店長は次のように語り、今後の期待を滲ませる。
「スマホの音楽アプリに特化したイベントはまだ多くはありません。その最大の理由は、小さいスマホを使うので、見た目が地味ということです。ようは『見せるイベント』には向かないのです。しかし、『見せるイベント』ではなく『参加するイベント』としてはそれが最大のメリットです。スマホは誰でもが持っているので、全員が参加者・出演者になれるからです。楽器と違い、それほど大きな技術差もありませんから、誰でもが楽しめます。将来的には電子音楽アプリ体験型の大規模イベントもあり得るでしょう」(WEIRD BAR今村氏)
簡単な体験ワークショップだけでも、誰でもが簡単にクールな音と映像を操ることができるようになるのも手軽な電子音楽アプリの魅力。スマホを介して「見る音楽」から「参加する音楽」へと、音楽イベントあり方も急速に変化してゆくであろうことは想像に難くない。Youtuberがそうであったように、電子音楽アプリが新しい表現の形、新しいクリエイターを生み出すのも、もうすぐかもしれない。
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