安倍総理が金正恩委員長の言葉にシドロモドロのなぜ?
メディアゴン / 2018年5月20日 7時30分
![安倍総理が金正恩委員長の言葉にシドロモドロのなぜ?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/mediagong/mediagong_25618_0-small.jpg)
両角敏明[元テレビプロデューサー]
* * *
国民の75%~80%が納得しないという4月10日の柳瀬氏参考人招致の後、翌11日に安倍総理はフジテレビ系・夕方のニュースワイド番組に緊急出演し、40分間しゃべり続けました。
このパターンは集団的自衛権容認の安保法制で世の中がガタガタしている時に、やはりこの枠に出演し、妙な模型を持ち出して「隣家が火事の場合は~」などとご自身で説明された姿を思い出します。安倍総理はフジ系ニュースワイド番組がお好きなのかもしれません。困った時のフジ頼みと揶揄する方もいるようですが。
この出演、前半はモリカケ問題でいつもどおりの弁解でした。いつもどおりですから説得力もいつもどおりです。後半は米朝首脳会談について。こちらもいつもどおりの発言が続きましたが、拉致問題についてFNNが独自に入手した情報、という話から異変が始まりました。
アナ 『北朝鮮の金正恩委員長が韓国の文在寅大統領に、「拉致問題について、なぜ日本はこの拉致の問題を我々北朝鮮に直接言ってこないのか」、と(話したと)いうことがFNNの取材で明らかになりました。これは非常に大きな言葉だと思うんですけれども。』
これに続いて、ツッコミ力で人気の反町理キャスターがたたみかけます。
反町 『こういう風に言われているということは、日本からまったく北朝鮮に対してパイプがないという事に聞こえます。』
これを受けた安倍総理の言葉を、すこし長くなりますができるだけ正確に文字化します。
安倍 『あの、えー、直接言ってこないのかという事は、おそらく金正恩委員長に直接ということであろうと思います。我々は北京ルートを通じてあらゆる努力を今まで行っておりますし、今も行っています。』
言い回しに多少の違和感はあるものの、ここまではまあ通常の範囲です。しかしこの後に続いた言葉は。
安倍 『えー、つまり・・・・・、金正恩、あのう、文在寅大統領が直接会って話している。あるいはポンペイヨ長官が直接会って話をする。それぞれの時にですね、拉致問題について働きかけをしていただいていると思いますが、えっ、つまり、なぜ、えー、日本が、自分自身に直接言って来ないのかということだと私は受けとめています。これは、あの、あのー、見方によってはですね、言わば、えー、それには応じるかもしれないということかもしれないという分析も出来るんだろうと思っています。』
総理、突然のご乱調、シドロモドロでなにをおっしゃっているのかさっぱりわかりません。この安倍総理の動揺を見て反町キャスターは実に複雑な、苦笑というか困り顔のような表情を滲ませ、それ以上ツッコミませんでした。筆者には、安倍総理に対して、「マズイことを聞いてしまったようで、もういいです、スミマセン。」と言っているように受け取れました。
【参考】大物漫才師・松本人志に近づく安倍晋三首相の思惑?
安倍政権には北朝鮮へのパイプがないのではないかという質問に、答弁上手の安倍総理がこれほどまで乱れる理由は、外交シロートの筆者には二つしか想像できません。ほんとうにパイプがないことを突かれたので動揺した、あるいは、直接のパイプがあって現在交渉中であり、それを認めてしまうと交渉に影響が出るのではと慮った、このどちらかしか思い至りません。本当はどうなのか、いまのところ、このことに言及した専門家の見解は寡聞にして聞けておりません。
この話、あまりに小さな、どうでも良いような話なのかもしれないと思っていたところ、文藝春秋6月号の巻頭エッセイに立花隆さんが書かれた文章に触れて気分が変わりました。一部引用させていただきます。
『歴史教科書の書き換えにくらべたら「セクハラ事件で財務次官の首が飛ぶ」などという話は、あまりにスケールが小さくて、どうでもいい話に思えてくる。(筆者中略)目の前の小さな話が気がついてみると、実は時代の大変化をもたらす発端になることが、この国にはしばしば起きるのだ。(筆者中略)何がどうなっているのか訳がわからないことが次々に起きているのが現状だが、二十年も三十年も後になってみると、「その後に生じたことも、結局あの時代にもとをたどれるんだな」といわれるようになるのかもしれない、歴史の面白さは目の前に起きていることの訳のわからなさの中にあると今は思っている。』
安倍総理シドロモドロの訳のわからなさが、後に歴史の面白さを示すような事なのかはともかく、この件は二十年も三十年も待つまでもなく、来月あるいは数ヶ月後にもその謎の答えが出るのかもしれません。それにしても、このごろの安倍総理の言動には落ち着きがありません。
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