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<日本スポーツ協会が調査>ボクシング連盟よりひどい競技団体が多数

メディアゴン / 2018年8月14日 7時40分

<日本スポーツ協会が調査>ボクシング連盟よりひどい競技団体が多数

両角敏明[元テレビプロデューサー]

* * *

山根明会長が率いた日本ボクシング連盟は、終身会長とかナンバー2が息子だとか、これだけでもスポーツ競技の統轄団体としては怪しすぎですが、山根会長が反社会勢力との関係や補助金不正利用を認めた時点で即刻解任が当然でしょう。

ところで、アマチュアボクシングは国民体育大会(国体)の正式競技のひとつですが、4年ごとに行われる国体競技としての適正評価審査の結果、2023年から毎年開催をはずされ、隔年開催競技に格下げされた事をご存じでしょうか。日本スポーツ協会(旧体協)は国体で開催する競技の様々な要素について4年ごとに調査、評価し、その上で開催する競技を見直しています。その調査評価を点数化し、順位づけしたのが「国民体育大会第3期実施競技選定 評価結果一覧(概要)」という文書です。

これによると、ボクシングは1000点満点中の561.7点で、国体正式競技41のうち41位、ようするにペケなのです。ちなみに1位は水泳で870.3点です。男山根だ、世界の山根だ、カリスマ山根だなどと威張っていても、山根さんが率いるボクシング競技は国体正式競技としての評価は最低です。それ故にとうとう国体の毎年開催競技からはずされ、隔年開催競技に陥落したわけです。高校生なら在学中に1回しか国体出場のチャンスがなくなる事もあるという事態です。

その責任は山根会長ひとりにあるのではなく、山根氏とともに異常な組織運営を続けてきた幹部、理事にも大きな問題があります。このことを証明するような出来事がありました。8月7日火曜日、日本ボクシング連盟は問題発覚後はじめての理事会を開きました。翌日、山根さんは辞任表明をするわけですが、この理事会で理事たちは、山根会長の体調と名誉を気遣い、理事もみな辞表を出すので会長もこの際勇退をと進言した、とされています。驚きの対応です。

すでに山根会長は自身が反社会的勢力との交際を認め、選手個人への補助金の不正使用を指示した事実も認めています。これだけで、ガバナンスどころか法令遵守たるコンプライアンス面でも山根会長は明らかにアウトです。ならば理事会が為すべき事は、山根会長の責任追及と処分もしくは解任、追放決議のはずです。当然ながら理事会が守るべきは山根会長の名誉ではなく選手と健全な組織ですから、現理事会の対応はまったく非常識で、理事たちもズレきっています。

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これほどガバナンスが崩壊した日本ボクシング連盟ですが、この調査におけるガバナンスの評価は133.5点です。これは41競技団体中の30位ですから、ガバナンス評価では最下位ではなく下から11番目です。信じがたい事に、日本ボクシング連盟よりもガバナンスが効いていない競技団体が10団体もあるというのが日本スポーツ協会の調査結果なのです。

あれほどひどい日本ボクシング連盟でさえ133.5点なのに、ガバナンス評価が100点にも満たないのが剣道、自転車、卓球の3競技団体。そのほかホッケー、アイスホッケー、フェンシングなども日本ボクシング連盟よりかなり低いガバナンス評価を受けています。日本ボクシング連盟よりはるかにガバナンス評価の低い競技団体がどういう組織運営をしているのかは想像を超えます。

日本スポーツ協会によるこの調査はあくまで国体に関する調査ですが、文書等による調査のみならずヒアリング調査も実施しています。細かい問題はあるにしても、その調査結果をスポーツ関係団体が共有することで国体競技の選定のみならず各競技団体の健全化に生かせないものかと思うのですが。今回の騒動でも、JOCはオリンピックに向けての選手強化と種目開催について関わるのであって、補助金などの支給を再考するでしょうが、ボクシング連盟の運営改善そのものに関わるわけもなさそうです。

一方、スポーツ庁の評判はすこぶる芳しくありません。活動の10本柱のひとつに「スポーツ界の透明性,公平・公正性の向上」があるのに、これまでの数々の騒動でスポーツ庁が何か存在感を発揮した形跡はありません。鈴木大地長官も、フジテレビの「バイキング」では司会の坂上忍さんから「単なる評論家」と揶揄されさんざんネタにされるなど、スポーツ庁は世間から嘲笑の対象になっている感まであります。

結局の所、日本にはスポーツに親しむ子どもたちや選手を守り育てるために、あまりにもひどい競技団体運営を是正させる実行力と義務、権限を持つ組織が存在しないようです。おそらくは、スポーツ競技団体に関わるこの手のスキャンダルがまだまだ埋もれており、メディアはここを掘れば芋づる式にスキャンダルに突き当たり、当分ネタには困らないのかもしれません。

それにしても、傲慢勝手な親分と、これにへつらい忖度しまくる人物たちがなんと多い事でしょうか。常識は引っ込み、権力を持つ者は責任などどこ吹く風で説明も謝罪もテキトウ、オザナリで平気な顔です。

そんな中、今回の騒動で日本ボクシング連盟関係者にほんのちょっぴり敬意を表そうと思うところが2点あります。まずは当事者が逃げ回らず、それなりに会見なり取材対応をしていること。もう一つは、山根会長の責任の取り方を、減給○ヶ月、にしなかったこと。もっとも山根さんはそもそも無給だからと言う人もいますが・・・。

とにかく、昨今の日本のオエライさんたちの責任は羽のように軽くなっています。

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