直近3回の沖縄国政選挙結果が物語ること -植草一秀
メディアゴン / 2018年9月4日 0時58分
植草一秀[経済評論家]
* * *
2014年12月衆院総選挙、2016年7月参院通常選挙、2017年10月衆院総選挙の沖縄県比例代表選挙得票数を検証してみる。
*2014年12月衆院選:自公+次世代236,484、民共社生239,606
*2016年7月参院選:自公+こころ254,694、民共社生254,781
*2017年10月衆院選:自公+日本維新302,655、立希共社325,983
となっている。2014年衆院選では維新の党が77,262票、2016年参院選ではおおさか維新の会が44,102票を獲得しているが、この両党は基本的には野党陣営の政党であった。
「自公と次世代・こころ・維新」対「反自公陣営」での選挙結果は基本的に伯仲している。
*自公政権陣営30万票
*反自公陣営30万票
が基礎票となっていると見てよいだろう。公明党と共産党の得票推移を見ると、
*公明党:88,626→86,897→108,602
*共産党:79,711→90,061→75,859
となっている。安倍政権側に公明党が位置し、反安倍政権側に共産党が位置している。公明党を含む政権与党陣営と共産党を含む反政権陣営がほぼ互角に対峙している。この情勢の下に、過去3回の国政選挙では、反安倍政権陣営が僅差で勝利を獲得してきた。2014年知事選では大差で翁長雄志候補陣営が勝利したが、これは、保守陣営の票の一部が翁長支持に回ったためである。
しかし、その後、安倍内閣は沖縄県に対する利益誘導の姿勢を強め、この結果として翁長氏を支持してきた保守陣営の一部が切り崩されてきた。これを「オール沖縄」の弱体化と表現しているが、その変化は、安倍内閣の「札束でほおを叩く戦術」によってもたらされたものである。
今回の沖縄県知事選は、自民党総裁選終了直後の選挙となる。知事選日程が9月30日に設定されたのは、自民党総裁選後に自民党幹部を沖縄に大量投入できるようにしたためのものである。また、翁長前知事の県民葬が知事選の後に先送りされたのは、自公サイドが知事選への影響を恐れて、横車を押した結果である。
つまり、この二つの重要日程設定は、現在の沖縄県執行部の意思決定が安倍政権の強権発動の支配下に置かれていることを意味している。沖縄知事ポストが安倍政権側に奪取された場合の状況を想定して沖縄県執行部が動いているということだ。
今回選挙最大の争点は辺野古米軍基地建設の是非であるが、これは、安倍政治そのものの是非と置き換えることができる。米国に隷従する安倍政治を是とするのか、非とするのか。沖縄の主権者が判断を示す選挙になる。
この意味では、保守陣営を含めた「オール沖縄」体制の構築にこだわる必然性は高くない。米国に隷従し、沖縄に不当な負担を押し付けようとする安倍内閣の基本姿勢を問えばよいのである。保守陣営に属する主権者であっても、米国にひれ伏すだけの安倍内閣の基本姿勢を非とする者は多数存在するだろう。この人々は、対米隷従の安倍内閣の基本姿勢を非として、反安倍自公政権側の候補を支持することになる。
ただ一方で、保守陣営の一部が切り崩されたことも事実ではあるから「オール沖縄」の言葉にこだわる必要性は低くなっているのだ。沖縄での国政選挙での結果を分析すれば、次のことだけは確実に言える。それは、共産党を含む共闘体制を確立しなければ、自公候補には勝てないということだ。これだけは間違いない。政権与党側候補には公明党の支持がつくのである。
この陣営と対峙して勝利を得るには、共産党を含む共闘体制を構築することが絶対に必要である。
逆に言えば、自公陣営は、反自公陣営を「共産党との共闘を推進する勢力」と「共産党の共闘に消極的な勢力」とに分断することが勝利を得る最良の方策と考えているはずだ。このための情報誘導がすでに大規模に展開されていることを認識するべきだ。
[植草一秀の公式ブログ『知られざる真実』はコチラ]
この記事に関連するニュース
-
なぜ自民も、維新も、小池氏も勝てなかったのか…衆院3補選が示す「自民にすり寄る野党勢力」の終わり
プレジデントオンライン / 2024年5月2日 17時45分
-
衆院補選で示された「政治への怒りと諦め」…与野党ともに求められる変革 豊田真由子が読み解く衆院補選結果
まいどなニュース / 2024年5月1日 20時32分
-
東京15区は〝大波乱〟衆院3補選最終情勢 自民は岸田首相「派閥解消」裏目に 島根1区、細田前衆院議長の「弔い合戦」も大逆風
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月26日 14時12分
-
岩田明子 さくらリポート 複雑に絡み合う〝野党対決〟自民候補不在の衆院東京15区補選 小池都知事の求心力の行方が「隠れたテーマ」に
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月24日 6時30分
-
大乱戦の東京15区補選、「岸田政権の命運」も左右 都民ファ・乙武氏に公明難色、立憲も"分裂"で本命不在
東洋経済オンライン / 2024年4月9日 9時35分
ランキング
-
1同僚女性遺体遺棄容疑の男、寝袋のようなものに入れて7〜8m下の沢に落としたか…女性はつきまとい被害を職場に訴え
読売新聞 / 2024年5月3日 21時25分
-
2《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン / 2024年5月3日 18時30分
-
3「風呂キャンセル界隈」SNSで話題 うつ病当事者から困惑の声
毎日新聞 / 2024年5月3日 17時0分
-
4【速報】「脱炭素」実現に向け連携確認 日・ブラジル首脳会談
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月4日 0時49分
-
5自民党、パー券公開基準引き下げで調整へ
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月3日 22時53分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください