<M-1審査の観点>立川談志、内海桂子ならどう採点?
メディアゴン / 2018年12月8日 7時30分
テレビ番組の見方は自由である。当たり前のことを書くが、これは、たまにアタマの悪いテレビ製作者の中に「この番組はこう見てほしい」というような、おこがましいことを放送前に発言する奴があるからである。
テレビは放送されたらそれがすべて。それを見た人がどう思おうがそれでおしまい。「いやこれはヤラセではなく」のような言い訳する間もない。それ以上でも以下でもなくて、それっきりで訂正なんかできない。そういう怖〜いメディアがテレビなのである。
ところで、「テレビ番組の見方は自由」という特権を持っているのは視聴者だけである。ディレクター、放送作家、テレビ局の営業、編成マン、出演者、代理店、スポンサーなど、関係のプロはテレビを自由に見る訳にはいかない。商売の観点から見るのである。
(1)マンザイの内容が新しいかどうか。
(2)マンザイの運びが巧いかどうか。
(3)テレビタレントとして使えるかどうか。
(4)その時会場で受けているかどうか。
(5)自分の好みに合うかどうか。
筆者は、審査員でも何でもないが、職業柄そんなふうに見てしまう・・・ということを書いてみた。本物の審査員である上沼恵美子も、松本人志も、オール巨人も、こういう観点で見ていただろう。どの観点に重きを置くかは、審査員の自由である。そこを縛る権利は、出場者だろうがスポンサーだろうが、誰にもない。
そこで、今年のM-1決勝に残った・和牛・霜降り明星・ジャルジャルを例に見てみる。この場合の筆者の判断は以下のようなものだ。
(1)「マンザイの内容が新しいかどうか」については、霜降り明星。
(2)「マンザイの運びが巧いかどうか」については、和牛。
(3)「テレビタレントとして使えるかどうか」については、霜降り明星。
(4)「その時会場で受けているかどうか」については、甲乙つけがたし。
(5)「自分の好みに合うかどうか」については、和牛。
おそらく筆者が審査員であれば、迷った末に最終的には「和牛」を推していたであろう。上沼恵美子、松本人志、サンドウィッチマン富沢たけし、立川志らく、ナイツ塙宣之、中川家礼二、オール巨人の審査員7名も、どれに重きを置くかで、心が揺れ動いたに違いない。
番組の生みの親、島田紳助は、若い頃自分にチャンスが与えてくれた人がいたように、後輩にもチャンスを作ってあげたいと思ってこの番組を発案した。島田紳助の盟友、明石家さんまは、笑いのコンテスト番組が嫌いである。笑いにはどれが好きかはあるが、どれが優れているかはない、というのがさんまの考えである。
ところで筆者が今回の番組で最も笑ったのは、審査員の自己紹介である。
立川志らくが「死んだ師匠立川談志が降りてきている」と言って出場者に睨みを利かすと(50点とか、そんな辛口採点をしそうではあった。期待はずれだったけど、辛口採点する勇気がなかったんだなあ)、続いて紹介されたナイツの塙の「今、内海桂子師匠が降りてきている」だ。
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