本音で語る倉本聰のビートたけし評
メディアゴン / 2019年3月19日 16時52分
高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]
***
本音を言うのがより困難な時代になってしまった。反対派の意見を聞かな、い認めない。賛成でも耳をふさぐ。聞きたいものしか聞こえない。自分の意に反するものは叩く。このような状態は、少なくても民主主義の世の中ではない。
ところが最近、それに接した。3つの書籍から、3つの本音を見ることができた。
1つ目は、倉本聰 『ドラマへの遺言』 (新潮新書)である。
脚本家・倉本聰はビートたけしが嫌いだそうだ。倉本の脚本で2010年8月14日にTBSで放送されたドラマ『歸國(きこく)』で、たけしが主演を務めて以来らしい。役者としてのたけし、そして、フリージャーナリストであるたけしへの直言。これは倉本さんしか言えない。筆者はどう思うかといえば、コメディアンのビートたけしが好きだ。
2つ目が、サライ編集部インタビュー『昭和のテレビ王』 (小学館文庫)である。本書の中で萩本欽一に一章が割かれている。萩本欽一は、コント55号で、絶頂だった頃、『スター誕生(日本テレビ)』の司会の仕事を頼まれて面食らったのだという。
萩本「だって、コメディアンに司会をやってくれっていうのは『あんたは面白くない』って言ってるのとおんなじだもん。これはコメディアンとして屈辱だと思ってずいぶん抵抗したよ」
けっきょく引き受けたのはご存知のとおりだ。ただ、萩本がやったのは笑える司会だった。筆者も思う。コメディアンに司会をやってくれっていうのはあんたは面白くないってことだ、と。今、漫才やコントを捨てて司会をする笑いの人は多い。今のテレビの形は萩本が作ったと言われることが多い。
何にも考えずにスタジオにやって来て、ただ司会の位置に立っているだけの人もいると思う。笑いは死ぬほど考えないとできないから、司会の方が楽だ。テレビタレントの方が楽なのだろう。
そして3つ目が、赤坂真理『箱の中の天皇』(河出書房新社)である。本書は小説であり、フィクションである。ただし、この中に出てくるマリもメアリも作者本人だ。GHQが書きあげた日本国憲法はには天皇についてこう書いてある。
Chapter 1. The Emperor
article 1. The Emperor shall be the symbol of the state and of the unity of the people,
その、日本語訳はこうだ。
第1章 天皇
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって・・・(以下略)
天皇は象徴the symbolだ。象徴「the symbol」は旗のようなものであって、空である。実体はどこにあるのか。実体は日本国民であるに違いない。象徴としての役割・務めとは、本来は日本国民がなさねばならない。筆者もそう思う。
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