<アートは娯楽か?投資か?>ZOZO前澤社長所有作品が9億円で落札
メディアゴン / 2019年5月19日 7時30分
安達元一[放送作家]
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ジャン=ミシェル・バスキアの絵画をサザビーズオークションで123億円の高額で落札した事でも世間を賑わせたZOZO前澤友作社長が、今度は所有するアート作品アンディ・ウォーホル「FLOWERS」、エド・ルシェ「BONES IN MOTION」をオークションに出品し、予想価格を大幅に上回る8億8000万円で落札された。
前澤氏がこの絵画をいくらで手に入れたかは不明だが、入手時より高額で売却できたことは予想に難くない。なぜなら前澤氏は、単にアートが好きというだけではなく、オークションにかければ値が上がる絵画を目利きし、投機の目的で所有しているとも言われているからだ。「好きな絵画を買って、資金に困ったら売却して、収益まで上げる」、これからの時代の、絵画との新しい関わりを例示しているようだ。
「アートの売買など大金持ちの娯楽。一般人には関係ない」と思う人も多いと思うが、実はそうではない時代が到来している。前澤氏のように、投資の一つとしてアート作品を売買し、所有するという考え方だ。
ただ、一般的な庶民の感覚ではなかなか理解は難しい。1980年代にイルカの絵で一世を風靡したクリスチャンラッセンなどのインテリアートは、高額なローンを組んで購入したものの、いざ売却しようとすれば二束三文・・・。アートの投資なんてそんなに甘いものではない、と骨身にしみているからだ。アートなどは所詮、金持ちの道楽、富裕層の娯楽に過ぎないのではないか。
そんな中、オンラインギャラリー経営の徳光健治氏の新刊『教養としてのアート 投資としてのアート』(クロスメディア・パブリッシング)はタイムリーな好著だ。
徳光氏は、現在のアートマーケットは、プライマリー(ギャラリーで販売している作品)、セカンダリー(オークションで売買される作品)は連携を取るべきであり、きちんとした作品を、きちんとしたギャラリーから購入すれば、価格が落ちにくい仕組みが出来あがっているという前提に基づき、「金持ちの娯楽」ではなく「庶民の投資」としてのアートについてわかりやすく解説している。
値段が上がるアートには明確なロジックが存在するという。
筆者はこれまで、放送作家として数々のアート番組を手がけてきた。しかし、思い返してみれば、その全てが「アートバラエティ」であり、「芸術エンターテインメント」の番組ばかりであった。
もちろん、これは筆者の好みや趣味で企画してきたわけではない。むしろ、テレビ局や社会からの要請であり、ニーズであったわけだ。しかし、こういった風潮はもう、今の日本にはないのだろう。アートがエンターテインメントから投資の対象としてシフトしていることは、日々のアート関連のニュースを見ているとひしひしと感じる。
今、筆者がアート番組を企画してくれと依頼されれば、間違いなく投資番組のアイデアを出すだろう。
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