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死んだふり解散なしなら安倍政治崩落最大チャンス-植草一秀

メディアゴン / 2019年7月1日 5時42分

植草一秀[経済評論家]

***

6月26日に通常国会が会期末を迎える。安倍内閣は衆院を解散せずに参院選単独実施に突き進むのか。老後資金2000万円不足問題がクローズアップされて敗色が濃厚になったから衆参ダブル選を回避したとの見方がある。年金問題が選挙でクローズアップされる可能性は高いから、その懸念は理解できる。しかし、その判断があるなかで、消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進むことは理解に苦しむ。

自民党は選挙情勢調査を行って、消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進んでも、議席を大きくは失わないとの見通しを得て、この路線に突き進んだとの見方もある。しかし、この場合、自民党が選挙で負けないという見立ては完全な誤りになるだろう。他方で、6月26日に衆院を解散して衆参ダブル選に臨むとの可能性も完全には否定されていない。

「死んだふり解散」である。

この可能性も残されている。この場合、消費税増税は延期されるだろう。株式市場はサプライズによって急騰する。これは選挙対策になる。安倍内閣下の選挙では、選挙前に株価が下がり、投票日に向けて株価が引き上げられるオペレーションが常に展開されてきた。このシナリオを全否定することはできない。仮に安倍内閣が消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進む場合にどうするか。これは日本の主権者にとっての最大のチャンスになる。このチャンスを必ずものにしなければならない。

チャンスというのは、目の前にあるときには、必ず両手でしっかりとつかまねばならないものだ。チャンスをものにするか否かは、この行動にかかるチャンスが目の前にあるのに、両手でしっかりとつかみ取る行動を取らないからチャンスを逃すのだ。野党陣営には大いなる問題があるが、消費税増税の阻止では、公約の一本化が実現した。参院選を消費税増税の是非を問う選挙にする。

消費税率10%を認めるのか。それとも、断じて消費税増税を認めないのか。これを問う選挙にするのだ。日本のメディアは消費税問題を取り上げたことがない。消費税率が引き上げられた場合の対応については時間を割くが、消費税増税の是非を問うことがない。理由は単純だ。

財務省のTPR=情報工作活動が、消費税増税の是非についての論議、検討、論争を、一切マスメディアに許していないからなのだ。これに全面協力しているのがNHK=日本偏向協会である。この誤りを正さねばならない。

参院選を消費税増税の是非を問う選挙にする。そして、何よりも重要なことは主権者が全員、選挙に行くことだ。主権者が全員選挙に行けば日本が変わる。投票率90%超を目指す。投票率が90%を超えれば、間違いなく消費税増税NOが勝つ。これを既得権益勢力は、ポピュリズムであると攻撃するだろう。ポピュリズムという表現自体は間違いではない。間違いは、これを「大衆迎合主義」とする翻訳にある。ポピュリズムの正しい翻訳は「草の根民主主義」である。

日本の主権者の力を示す最大のチャンスになる。安倍内閣が消費税増税延期を掲げて衆参ダブル選に突入する場合には、野党が厳しい戦いを強いられる。野党の消費税増税阻止では票を集めることができないからだ。この場合には、「消費税減税」を明確に掲げている「れいわ新選組」を全面的に支援するしかない。野党は消費税減税を共通公約にするべきである。

繰り返すが、安倍内閣が消費税増税強行を掲げて参院選単独実施に突き進む場合、日本の主権者にとって最大のチャンスが提供されることをしっかりと認識しよう。この点を明確にしておかねばならない。

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