<宮迫の代替はたくさんいる>宮迫以後の模索が始まる「アメトーーク」
メディアゴン / 2019年7月1日 7時30分
高橋維新[コラムニスト]
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2019年6月27日放映のテレビ朝日「アメトーーク」を見た。宮迫が吉本から謹慎処分を受け、出演部分がカットされて放映されるという情報が出回ってから初の「アメトーーク」である。
姉妹番組の「ロンドンハーツ」(2019.6.25OA分)でもMCの片割れである田村亮の出演部分がカットされていたが、亮はもともと番組で大した働きをしていなかったのでほとんど違和感はなかった。他方、「アメトーーク」での宮迫の役割は大きく発言頻度も高いため、でき上がった再編集バージョンがどのような感じになっているかは非常に興味を引くところであった。
結論から言うと、宮迫の存在はほぼ完全に消されていた。蛍原のアップの画の際に宮迫の左腕が入り込むことはあったが、顔は一回も映ることはなく、声も多くの人間がガヤガヤしゃべっている場面で宮迫らしき笑い声が多少入っている程度で、はっきり宮迫だと分かるものは一つもなかった。他方で、番組それ自体はそんなにおもしろくなかった。
今回のテーマは「ネタ書いてない芸人」というものであり、ネタを書いている芸人とネタを書いていない芸人にそれぞれの言い分を言わせて喧嘩(=プロレス)をさせるというのが主な内容であった。しかし、まず宮迫が一切映らず一言もしゃべりもしない映像への違和感がまだ大きいので、内容に集中できなかった。
番組での宮迫の主な役割は、誰かがスベった時のフォローや、雛壇の面々から飛び出た天然を拾ってたとえツッコミをすることである。ただ宮迫の発言を入れ込まないとおもしろくならないシーン(=宮迫の言動があって初めてオチたシーン)は全てバッサリとカットせざるを得ないので、OAされていたのは宮迫が絡まなくても笑いが起きたシーンに限定されていた。そして、番組がそんなにおもしろくなかったということは、OAされていたところが軒並みそこまでおもしろくなかったということである。
「ネタ書いてない芸人」の方には津田・ナダル・おたけといった撮れ高の期待できる天然が揃っていたので、再編集の末にカットされたシーンの中には、宮迫がガッツリ絡んでおもしろくなったクダリがたくさんあったと推察する。これを切らざるを得ないのは、番組としては大きな痛手だろう。
「アメトーーク」という番組の(他に代え難い)魅力の一つは前述のような天然芸人の「発掘」と「料理」であるため、宮迫みたいにツッコミとフォローができるMCは必要である。天然ボケというのは本人ですらも意図せずに飛び出てくるものなので、それを拾ってお客さんにおもしろさを気付かせてやる役回りがどうしても必要なのである。蛍原は、最低限の進行しかできないし、していない。
宮迫は、芝居も上手くて、歌も上手くて、ボケもツッコミもできるオールラウンダーという意味では紛れもなくオンリーワンであるが、個々の能力をバラで見るとトップクラスに突出したものは持っていないので、この「個々の能力」に限ればこれを代替できる芸人はいる。たくさんいる。そして、「アメトーーク」で求められているのは宮迫の芝居でも歌でもなく、前述のような「ツッコミ」である。
これは、MCができる芸人であれば大抵みんなできるものである。さんまやダウンタウンは当然できることであるし、そこまでの大物を持ってくる必要もない。今田や東野にもできる。有吉やフット後藤にもできる。それこそロンドンハーツのMCである淳にもできることである。
島田紳助が引退した時の「行列」や「鑑定団」のように、「アメトーーク」でも早めに後釜を見つけて番組を続けて欲しい。今のままのではギリギリ味のするシーンを切り貼りした残り物の寄せ鍋みたいな映像しかでき上がらない。その状態が続けば、番組が終わってしまう。私は、まだ「アメトーーク」には終わって欲しくない。この番組には、天然のスターを発掘し続けるという地上波での使命がある。
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