<24時間テレビ取材レポート>募金額6億9千万、視聴率15%超の大成功の要因?
メディアゴン / 2019年9月4日 7時30分
奥村シンゴ(ライター)
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日本テレビ系「24時間テレビ42 愛は地球を救う人と人~ともに新たな時代へ~」(24日後6・30~25日後8・54)が放送された。今年は総合司会が嵐、メインパーソナリティーが浅田真央、サポーターにイモトアヤコ、芦田愛菜、徳光和夫が務めた。
24時間の平均視聴率は16.8%と昨年の15.2%に比べ1.6%もアップし、放送終了時の募金額も6億8421万2104円と昨年の2億6787万5910円に比べ2.5倍もアップと大成功だ。日本テレビ汐留本社や24時間テレビの会場である両国国技館周辺を取材し、みえてきたのは若者への支持に成功していることだった。なぜ今年は若者への支持に成功したのか取材と共に背景について考えてみたい。
*両国国技館の人出、若者が大半
従来の24時間テレビのマラソンランナー1人体制から今年は駅伝方式に変更。第一走者ハリセンボン近藤春奈、第二走者ガンバレルーヤよしこ、第三走者水ト麻美(日本テレビアナウンサー)、最終走者いとうあさこが務めた。
各走者のマラソンコースには番組をみて声援を送りにかけつけた人たちが大勢いたが、特に最終走者いとうあさこの両国国技館のゴール付近の人出は凄かった。筆者はもしかするといとうと一緒に嵐がゴールするのではないかと予想した嵐ファンが多いんだろうと予想。ところが、嵐ファンのみならず40代~50代位のサラリーマンや専業主婦らしき人たちがいたが、一番多かった層は筆者の目測だが、10代~20代位の若者と嵐ファン。24時間テレビといえば、ジャニーズファンかお年寄りに人気というイメージがあるが、全然そんな事はなく若者に人気が高く驚いた。
両国国技館周辺で24時間テレビのスタッフに話を聞くと、「ゴール付近におそらく1万を超える人が集まっているので、観覧席を設けました」と答えた。急遽、両国国技館の会場付近にいとうあさこのマラソンゴールシーンがみれる観覧席が設けられた。
いとうのゴールを待つこと1時間。日本テレビの中継車と共にいとうと白いハチマキをしめてスーツ姿で『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ系)の差し棒をもっている男性がいる。ウッチャンナンチャンの内村光良がサプライズで登場し、いとうと並走しながらエールを送った。
いとうとまさかの内村登場に会場付近は大いに盛り上がり、「お疲れさま」、「あさこちゃん、よく頑張ったね」、「ありがとう」、「あさこちゃん、あと少し頑張れ」、「ウッチャンと一緒だ、すごーい」などと温かい声援が多数送られていた。本番終了後、両国国技館からJR両国駅まで普段なら徒歩10分程度だが、1時間以上かかった。
まさに24時間テレビフィーバーに沸いたわけだが、若者が多かったのは普段から若者やファミリー層に人気のイッテQレギュラーのいとうが最終走者なのが関係していたかもしれない。とはいえ、若者が多数応援に詰めかけるのは面白く魅力がある番組に若者はまだまだテレビを視聴するということだ。
*募金するだけで4時間以上
両国国技館周辺には放送前日から嵐ファンを中心に数千人のファンが集まった。24時間テレビのスタッフに話を聞くと「予想以上に人がジャンジャン募金に来ていただきまして、両国国技館の会場内で募金するだけで4時間以上お待ちいただいたりしました。そして、予定を早めて25日(日曜)午後5時頃に募金を締め切りました、多くの方々に来ていただきありがとうございます」と嬉しい悲鳴。
25日(日曜)午後5時以降は両国国技館外のテントで募金を受けつけていた。おそらく、会場内で募金できるということで一目「嵐をみたい」、「浅田真央ちゃんをみたい」、「水トちゃんをみたい」などと言ったファンが多数だったとは思うが、どんな動機であれチャリティーに興味関心を湧く人が増えると募金額の増額に繋がる。
公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会によれば、東日本大震災等災害復興費用に充てられたり、リフト付バス・訪問入浴車・電動車イス等福祉車両やスポーツ用義足・バスケットボール用車椅子等障害者スポーツ支援などが贈呈されている。東日本大震災や昨年の西日本災害等未だ復興の道が半ばの災害にお金が回り、介護や障害者施設に多数の福祉車両が届くのはどれだけの人が救われるか。
[参考]<24時間テレビ>清く正しく美しい障害者を創る「感動ポルノ」という嘘
私事ながら、30歳から祖母を6年間在宅介護(現在施設介護1年目)を経験した。その中で、祖母がデイサービスで24時間テレビの募金から贈呈された電動車イスに乗せてもらい、助けてもらったことがある一人として嬉しい限りだ。
東京汐留日本テレビ本社でも24時間テレビ本番当日、グッズの売れ行きを視察していたが、飛ぶように売れ、売り切れが続出。特に人気が高かったのは嵐の大野智がデザインしたペン画がある『24hTV42チャリTシャツ』のミントL・LL、水色全サイズ、フェイスタオル、ミラーが売り切れで店側は再入荷の予定はないと案内していた。
購買層は嵐ファンが中心で孫とおばあちゃんのような家族連れや若いカップルもいた。お店の店員に話を聞くと「今年の売れ行きは好調ですね。午前中にお店にあった商品が午後には売り切れですからね、おかげさまで凄い反響をいただいております」と満足気な表情。
*若者のチャレンジ企画を多数投入が過去5年で若者個人視聴率最高を記録
これだけ視聴率がアップし、募金額が2.5倍になり、グッズは売り切れが続出し、両国国技館のマラソンランナーをみようと1万人を超える人たちが集まる背景に「若者」に高い支持を得たように思う。
今年の24時間テレビの放送内容が「若者」向けに作られた企画内容が多かった。例えば、「嵐×高校生ブラスバンド甲子園」では高校野球にちなみ、吹奏楽の応援合戦を披露。登場した3校と共に嵐が「Guts」を熱唱。
あるいは、夏休みの小学生301人とイモトが長縄跳びのギネスに挑戦し、ギネス記録の12回以上を跳ぶことに成功し、会場から大歓声が送られた。それ以外にも、空手、パラテコンドー、テニス、卓球、BMX、スケートボード、新体操の選手たちがアートとスポーツを融合させた「スポーツアートパフォーマンス」のコーナー。相葉はアスリートと一緒に映像と音、光がシンクロした圧巻のパフォーマンスを披露し、「みんなすごくないですか!?本当に完璧にやりきってくれました!みんな最高だった」と感極まっていた。
その他、「嵐にしやがれ」、「しゃべくり007」、「ヒロミの24時間リフォーム」などバラエティ色が濃い若者向けの番組が多数放送。もちろん福祉企画も少なくなかったが、若者向けのチャレンジ企画やバラエティ番組を多数投入し、嵐の人気と重なって結果的に若者にリーチできた番組になったのだろう。
ここに若者にリーチできたという興味深いデータがある。関東で2000世帯5000人以上の視聴率を測定しているスイッチ・メディア・ラボのデータで個人視聴率は上昇傾向にあるという。特にC層(男女4~12歳)・1層(男女20~34歳)はここ5年で最高値。T層(男女13~19歳)が2位。他番組では3層(男女50代以上)が高い傾向が顕著だが、今年の24時間テレビは若者の個人視聴率が高いのが数字上でも証明された。[引用『24時間テレビ』批判への疑問~背景にあるのは世帯から個人重視の姿勢~(鈴木祐司)]
今年の24時間テレビは未来を担う若者にしっかり評価された番組作りに成功したといっていい。毎年、24時間テレビを批判する人たちが後を絶たないが、一度会場へ足を運ぶなり、募金するなり、スタッフや演者の汗をみるなりすれば心境に変化が生まれ、なぜ多くの若者に支持されているか肌で感じることができるだろう。
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