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<飲食業はブルー・オーシャン>ホリエモンが続々飲食店をプロデュースするのはなぜ?

メディアゴン / 2019年11月17日 11時0分

<飲食業はブルー・オーシャン>ホリエモンが続々飲食店をプロデュースするのはなぜ?

知久哲也[放送作家]

***

業界随一のグルメとして知られるホリエモンこと堀江貴文氏が次々と飲食店をプロデュースしている。

ここ最近でプロデュースした店は、大人気バラエティ番組「ダウンタウンDX(YTV)」でも注目されて話題となった会員制のレストラン「THE WAGYUMAFIA(ザ ワギュウマフィア )」。同じく会員制の立ち食い高級焼き肉店「YAKINIKUMAFIA(ヤキニクマフィア)」。オープンまでの過程をYouTubeにて一部始終密着したことで注目された北海道大樹町のレストラン居酒屋「蝦夷マルシェ」など実に多様だ。

そんな堀江氏であるが、次々と飲食店に投資、プロデュースを行う理由として「飲食業界は経営センスのないスライム同士が戦っている状態」であると、ある対談で述べている。

一言で言えば、飲食業界は「センスがない経営者しかいないブルー・オーシャン(競争相手のいない未開拓の市場)」であり、成功することは簡単なのだ、ということらしい。

一方ネットでは、飲食業界の新規参入に対して、

「飲食店経営に手を出したら、その先には地獄が待っている」

「現実的にはそんなに甘いものではない」

「飲食店開業が失敗する確率は9割以上。つまり、ほぼ失敗する」

などなど、実業家、投資家たちからの飲食店開業に対してネガティブな意見は少なくない。確かに開業3年で約7割が廃業し、10年後も営業している店は1割程度というデータも存在しており、厳しい意見があるのも事実だ。

ホリエモンの考える「飲食業界はブルー・オーシャン」の本質とはいったい何なのか。本稿では、「飲食業界新規参入」に詳しい、飲食店コンサルティングやフランチャイズ事業を展開する株式会社ダイニングエッジインターナショナルの長井広樹氏(写真)に話を聞いた。

長井氏「堀江さんのお話は、確かにおっしゃる通りだと思います。私も経営や飲食の事を全くわからない状態で、23歳の時に、ノリと勢いで飲食店を開業しました。つまり、堀江氏の言う『センスのないスライム』の状態で飲食業界に殴り込みしたのです。結果はやはり、大失敗しました」

長井氏は、その大失敗を経て、必死で借金を返済しながら、経営を一から学び直し、今では数多くの飲食店経営の支援をするに至っている。自身の失敗と成功の経験から、飲食店経営に対する視線は誰よりもシビアである長井氏。堀江氏の主張には納得しつつも、創業者のパワーやカリスマ性に依存した飲食店経営の考え方には懐疑的だ。

そもそも、堀江氏のような著名経営者であれば、話題性も大きく、資金力や集金力もあるのだから、確かに成功は容易かもしれない。しかし、一般的に考えれば、飲食で生き残る店舗は10%以下。「飲食業界はブルー・オーシャン」と楽観論を鵜呑みにはできない。この現象について長井氏はこう分析する。

長井氏「多くの飲食企業は創業者のパワーである程度までは成長しますが、一定のところで成長がストップ、もしくは業績が次第に悪化します。それは数字をないがしろにした事が大きな原因である可能性は非常に高いです」

特に、自らの経験から従業員全員が経営を意識する必要があると主張する。

長井氏「飲食店経営で生き残るには、第一段階として経営層だけではなく、末端の社員に至るまでが店舗の毎日の経営数値を把握できる状態をつくることが重要なのです。そうすることが、経営者意識を芽生えさせ、売上・利益の向上はもちろんのこと、成長実感の醸成や離職率の低下に繋がり、企業の体質改善につながるのです」

こういったことが、継続的に企業が成長するエンジンになるが、効果的なやり方がわからず後回しになっている店がほとんどなのだという。

だからこそ従業員全員が経営を意識することができれば、「飲食業界はブルーオーシャン」とまでは言わないまでも、多くの人々にとって飲食は夢と可能性のある業界であると、長井氏は自身の経験と専門性から堀江氏の「言いたいであろうこと」へ賛同することにやぶさかではない。

創業者のパワーやカリスマ性だけで闇雲にやったところで成功する確率は限りなく低い。長井氏はそういった見地から、従業員教育のための「経営可視化フォーマット(https://xn--cckk9aqgb9h1kzb6d.site/)」を開発し、それを無償でリリースしたり、経営ノウハウを無料で公開するなど、飲食経営のエヴァンジェリストとしても積極的に活動している。

長井氏「全員が経営を学ぶ一番効果的な方法は自店舗の細かな経営数値を把握することです。例えば私たちが開発した『経営可視化フォーマット』は、必要な項目を入力するだけで、最新の経営数値の把握が出来ます。精度の高い今月の着地予測の算出や損益計算書がすぐに作成でき、利益がどのくらい出るかを月中に確認出来るのです。他にも、お客様がどれぐらい自分たちのお店、サービスに満足して頂いているか?を数値化したものをそれぞれの店舗に開示できるフォーマットや、原価率をコントロールするためには何を増やして、何を減らせばよいのか?等、具体的に数値を動かして効果的な経営を行う『プロセスを管理』し、それらを全員に共有することが重要です」

そして、可視化された数値に対して、PDCAサイクル(Plan計画・Do実行・Check評価・Act改善)を日次で回すことで、仕事の成果が見えやすくなり、従業員のモチベーションアップに繋がるという。

長井氏「数値を全員で把握する大切さを伝えたいですね。しかし、業界は人手不足。そのギャップを埋めるサービスで在りたいと思っています。自分が好きな飲食業界にはまだまだ可能性が溢れているので、一人でも多くの人に成功体験を味わってもらいたいですから」

開業すれば、90%以上が廃業すると言われている飲食業界。それをブルー・オーシャンと語る堀江貴文氏の主張は「話半分」だとしても、まだまだ夢と可能性が広がっていることは間違いなさそうだ。

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