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<テレビ東京『ウレロ☆未開拓少女』>峯村リエがただの大声役者に堕ちてしまった理由

メディアゴン / 2019年12月22日 7時34分

<テレビ東京『ウレロ☆未開拓少女』>峯村リエがただの大声役者に堕ちてしまった理由

高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]

***

今期、テレビ東京で対照的な二つのドラマが放送されており、どちらも一部の熱狂的なファンに支えられて継続している。テレビ東京は、いま、NHKに次いで挑戦的的な企画を放送する土壌を持った意欲があふれる局である。

その二つのドラマとは『ウレロ☆未開拓少』(シリーズの第5弾)と、『孤独のグルメ』(シーズン8)のことである。対照的だと言ったのは、『孤独のグルメ』が、練られた脚本で芝居をすることに演出趣旨が置かれているのに対し、『ウレロ☆未開拓少女』の方は、笑いを脚本と芝居で演出することを、意図的にか、演出方法を知らないかは措くとして、放棄しているドラマであるからだ。

『ウレロ☆未開拓少女』の12月7日の放送を見たが、筆者は、クスリともできなかった。・・・と書くと、「自分はは笑えるからいいじゃないか」と言う人がいるが、本稿は、そういう人に向けて書いているのではない。もっと笑える普遍的な演習方法があるのに、それが、当該ドラマのような演出方法しか知らない人が増えてしまうのは残念だと思うからである。

ひとつずつ挙げて行く。

*説明ゼリフの多用は脚本家として恥ずかしい。

脚本家たる者は、全員そう思っていると思っていたが、そうではないのだろうか。このドラマでは、役者が皆、自分の設定・立場を説明する。チラシを客席の方に向けて「クリスマス・フェス」があることを説明する。いくらシチュエーションコメディだとはいえ、チラシを客の方に向けて見せることは、笑いをとるための動き以外ではありえない。チラシは自分か相手役が見るものである。

[参考]<木村拓哉主演『グランメゾン東京』>もしオマージュならドラマ冒頭でそれを示すべき

*役者がおもしろい顔をする。

笑いとるためにおもしろい顔をするのは最悪の芝居である。力の無い役者はよくこれをやる。おもしろい顔をして笑ってくれるのはファンだけ。おもしろい顔をして笑いをとることが出来ていると、役者は必ず行き詰まる。

*芝居は、その芝居を見てもらうためにするのではなく、芝居の先にある目的を客に見てもらうためにするのだ。

そんな風に感じさてくれるシーンはまったくなかった。

*笑いを置きに行く。

ここで笑え、と言う位置に無理を押して笑いを入れている。笑えと言われても笑いたくはない。

*大きな声を出す以外に演技方法を知らない。

*自分のセリフがないときの役者が棒立ちで据わりが悪い。

ゲストで登場した峯村リエさんだけが、いい芝居をなさっていたが、他の大声役者に引きずられて、後半でただ叫ぶだけの役者さんになってしまったのは最も残念なことであった。

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