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TBS「メイドインジャパン!」はタチの悪い遅れてきた「日本礼賛番組」

メディアゴン / 2020年2月12日 7時40分

TBS「メイドインジャパン!」はタチの悪い遅れてきた「日本礼賛番組」

高橋秀樹[放送作家/発達障害研究者]

***

朝日新聞のラジオ・テレビ欄に「日本礼賛番組」との、紹介がでていたので、筆者の嫌いな「がんばれニッポン番組」が今どうなっているのかとの興味から、2月3日(月)のTBS系列『メイドインジャパン!』を見てみた。YELLOWという『東大王』などをつくっている制作会社に発注してつくっているレギュラー番組らしい。

一見、これはタチが悪い番組だなあ・・・と言うのが感想である。そもそも、「日本礼賛番組」であるから、ケチが付けにくい。「いい国だなあ、日本は」という感想にケチを付けるとムキになって反論する人がいるからである。でも、日本のテレビにはあまりに「日本礼賛番組」が氾濫したので、日本を礼賛するのは「良いか、悪いか」を越えて、「おもしろいか、おもしろくないのか」で論じることが出来るようになったので、それはいことだ。

そもそもテレビが「日本礼賛」で視聴率を取れると気づいたのはいつのことだろう。筆者自身は、1984年のサラエボ冬期オリンピックのころだ。同時期に、考えても考えても視聴率が取れない情報ニュース番組をやっていたが、この番組が日本選手の活躍を伝えると、その部分だけ分刻みの視聴率が上がる。筆者は「大事なニュースなんかどうでもいい。日本選手、日本選手」と、叫んだことを覚えている。

それで、1996年に『コロンブスのゆで卵』(TBS)という番組を立ち上げた。番組のコンセプトは「ものづくりの発想を探す」であったが、裏コンセプトは日本の逸品。日本部分を強調することが足りなかったのか、番組は2年ほどで終わった。

話が大分逸れたが本題の『メイドインジャパン!』である。この遅れすぎてやって来た「日本礼賛番組」の私が見た回は、ヤラセ感満載であった。ヤラセは断定されれば番組が終わるほどの重大事であるから、慎重に論じよう。

[参考]<強烈な場違い感>安住アナがビートたけし再婚に「水くさい」

<冒頭ネタ>イギリス人女性が日本の美容技術を極めた美容師を連れて帰国、彼女の技術で、ひきこもりがちの弟を変身させ、弟に彼女をつくる。

*イギリス人女性は日本でタップダンサーをしているが、下手である。

*変身と引きこもりの合体など、この企画はこねくり回しすぎていて、プロ臭い。背後で誰かがプランを提示しているように思える。

*弟は姉の提案に最初はためらうが、結局引き受ける。決断を引っぱっただけで、決心のきっかけはよくわからない。演出家なら、これを考案することが肝のはずだが、ヤラセならしっかりと考えてあげなければいけない。ヤラセではないからはっきりした理由がないのだろう。時に真実は実につまらないものである。

*彼女を探しに行くのは英国風のパブ。ナレーションでは英国の若者が彼女をつくるのはこういう所だという意味のことを言っていたが、まるで、デートクラブみたいな所だ。

*見ず知らずの弟に声を掛けられて同席を承諾する女性客。不自然感いっぱいだが、ラッキーな番組なのだろう。ここは、相席屋かと突っ込みを入れたくなる。

<次のネタ>ロシア人女性が、シングルマザーで苦労して自分を育ててくれた母親に、家電などの日本の便利グッズを持ち帰り楽してもらう。ついでに結婚の報告サプライズも。

*選んだ家電、電気圧力釜などは、家電芸人レベル。アイディアは提供しただろうが、この里帰りとの合体感がまた、下手なプロっぽい。

*母に向けて感謝の手紙を読む。「その企画、止めてくれ!」と叫びたくなる結婚式の演出と同じ。ロシア人女性本人が手紙を読むのはまだしも、連れて行った日本人の結婚相手まで読むのはなんかなぁ・・・。

ヤラセ感満載であることを感じてもらえただろうか。しかし、これを書きながら私が思ったのはヤラセ感よりむしろ、「演出の下手さ感」であった。

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