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笑えないNHKバラエティ「LIFE!~人生に捧げるコント~」はなぜ続く?

メディアゴン / 2020年2月17日 7時30分

笑えないNHKバラエティ「LIFE!~人生に捧げるコント~」はなぜ続く?

メディアゴン編集部

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『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK)という番組がある。紅白歌合戦で3年連続(2017、2018、2019)総合司会をしている内村光良メインの番組であるから見たことのある人も多いだろう。この番組は近頃流行の「感動」も相手にせず、「情報」もかなぐり捨ててコント一筋。清々しいほどの潔さだ。テレビを見る人に笑ってもらうことを唯一の目的にしている点で、その志も明確である。

しかし、ただひとつの欠点は「笑えない」ということだ。

笑えない笑いの番組なのになぜ続いているのか(もう、シーズン7になるそうだ)。大変ふしぎな番組である。「笑えない」というのは「個人的感想です」と、テロップを入れられてしまうようなことなのかもしれない。よって、そこは割り引いて考えるとして、本稿では他の人気お笑い番組を振り返りつつ、改めて『LIFE!~人生に捧げるコント~』がなぜ笑えないのか? について考えてみたい。

まずお笑い番組といえばこれ、『笑点』(日本テレビ)だ。『笑点』は、お年寄り相手の番組なので、それ以外の人から見れば、(時に笑うこともあるが)ほとんど笑えない。もちろん、この番組が大好きな人がいることは想像がつく。

『IPPONグランプリ』(フジテレビ)は、つまらないはずの『笑点』が高視聴率を取っていることに腹を立てているテレビ屋がつくった番組である。それなりに笑える番組ではあるが、「排他的だ」と疎外感を感じて見たくない人がいることも想像がつく。

『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)の中で爆笑してしまうネタが5%くらいの確率(高確率に属する)で存在するように思うが、松本人志自体が嫌いな人が見ないことも想像がつく。

『アメトーーク!』(テレビ朝日)は、愛好していたが、もう飽きたから見ない・・・という人は多いのではないか。もちろん、毒にも薬にもならない無駄話はそもそも嫌いだ、という人が多数いることも想像がつく。

2月11日(火)放送の『LIFE!~人生に捧げるコント~』を、テレビの正面に座って真面目に見てみた・・・が、やはり笑えない。個人的な趣味嗜好の問題だけとは思えない。それぐらい笑えない。この番組を見て大爆笑した視聴者は何人ぐらいいるのだろうか?

バラエティ番組が笑えない原因として「演者がおもしろくない」はまず思い浮かぶ指摘だろう。しかし、これについては同番組については当てはまりそうもない。レギュラー出演者は、塚地武雅(ドランクドラゴン)や田中直樹(ココリコ)というきちんと芝居の出来る喜劇役者だからである。よって、つまらないのは演者のせいではないだろう。

[参考]<NHKクロ現>「超プレゼン術の極意」取りあげかたが残念

コントという形式だから笑えない、という原因も考えられる。確かに、ドキュメンタリの笑いよりコントで笑いをつくるのは難しい。コント(寸劇)よりマジ(本当)が笑えるからだ。転ぶ芝居よりホントに転んだ奴のほうがおもしろい・・・とは、よく言われることだが、実はそうとも言い切れない。実力のある演者がやれば(今の芸人なら、インパルスの板倉俊之、スッチーさん等)、ホントに転ぶのは痛々しく見えるだけで、芝居で転ぶほうが確実に笑える。

脚本がつまらない、という理由もあるかも知れない。ただし、「脚本を、脚本のまま演じてもおもしろくなるわけがない」のは自明なのだから、脚本だけの責任ではないだろう。脚本の上に演者の動作と、ディレクターの演出がのせられて後にしかおもしろくならないからだ。

同番組の製作者たちが、「テレビはこう作るべきだ」との固定観念に縛られているのかも知れない。脚本の通りやる、リハーサルを何度も何度もやって作り上げる、何度やっても同じように出来るまで稽古する、アドリブやハプニングを除外する・・・こんなことが「テレビを作るということだ」という制作者の固定観念。これはテレビ番組をつまらなくする大きな要因の一つだろう。『LIFE!~人生に捧げるコント~』がおもしろくない理由として、なんとなく、これは当てはまるような気がする。

あるいは、「笑えなくてもよい」と考える人たち作っているとも考えられる。つまり、「笑いが好きな人は、別に見なくてもいいよ」と思っている人たちが作っている番組。この理由がかなり真相に近いのではないか。

さて、この際、この番組が笑えない、ということは良しとしよう。ではこの番組は「笑えない」のに、なぜ続いているのか? それなら答えが見つかるかも知れない。

テレビ番組が続くには、いくつか理由が考えられる。

*視聴率が良いから(気にする必要のないNHKでも最近では大切らしい)

*上層部が支持しているから

*続けること自体に意味があるから(例・伝統芸能の番組)

*演者やプロダクションの力が強くて止めさせられないから

*良い番組だから

『LIFE!~人生に捧げるコント~』の場合はどうなのか・・・を考えてみたが余計に分からなくなってしまった。改めて考え直してみれば、本当に不思議な番組だ。笑えないのに続いているお笑い番組なのだから。

ただし、最後にひとつだけ気がついたことはある。「おもしろくない」と思った時、私たち視聴者はテレビを消すことが出来る、ということだ。

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