虚偽公文書作成無罪放免検察を刑事告発すべきだ -植草一秀
メディアゴン / 2020年4月3日 23時49分
植草一秀[経済評論家]
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この国をダメにしている三つの原因を記述してきた。三つの原因とは、「刑事司法の腐敗」「メディアの腐敗」「国民のゆるさ」だ。
森友疑惑に関連して財務省は重大な刑法犯罪を実行した。「背任」「虚偽公文書作成」「偽計業務妨害」である。いずれも重大な刑法犯罪だ。
時価10億円相当の国有地をタダ同然で払い下げた。14の公文書の300箇所以上を書き換える「虚偽公文書作成」を行った。国会に虚偽の文書を提出して国会審議を妨害した。この巨大犯罪を摘発する役割を担うのが警察・検察である。しかし、その警察、検察がこの巨大犯罪を立件しなかった。しかし、組織の末端で虚偽公文書作成の実行を強要された赤木俊夫さんが命がけの告発文書を遺していた。ここには、財務省理財局および近畿財務局の誰がどのような役割を担い、虚偽公文書を作成したかの事実が明確に記述されている。
しかし、財務省が行った調査報告書には、その事実が記載されていない。国会での太田充理財局長(現主計局長)の答弁が完全虚偽であることも指摘されている。捜査当局である検察は、赤木氏メモを元に財務省および近畿財務局の巨大犯罪を立件する責務を負っている。ところが、検察はすべての財務省関係者を無罪放免にした。これに対して、検察審査会への異議申し立てがあった。しかし、検察審査会は不起訴不当としたが、再度捜査を行った検察は再び不起訴とした。
赤木氏のメモを見る限り、犯罪事実は明確である。虚偽公文書作成は刑法が規定する重大犯罪だ。
(虚偽公文書作成等)第百五十六条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。
刑罰については第百五十五条に規定がある。
(公文書偽造等)第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
理財局の佐川宣寿局長が命じて虚偽公文書が作成された。犯罪事実は明確であり、誰が指揮命令し、誰が実行したのかも明確である。検察が赤木さんのメモを元に操作すれば確実に立件できる。その重大犯罪を検察が握り潰した。ここが問題なのだ。
検察の不正を正す制度としての検察審査会制度が存在するが、その実態が極めて不透明である。森友事案においては、腐敗した検察が巨大犯罪を無罪放免とし、検察審査会も裁判所と検察が結託してその運用にあたり、巨大犯罪の実行者たちを無罪放免にした。国会で再調査を求められた安倍首相と麻生財務省は検察が捜査して不起訴決定したことを根拠として再調査を拒絶する。
しかし、検察、裁判所が腐敗しているのだから、検察が不起訴としたことは正義の証しにならない。安倍内閣が長期間存続しているのは、刑事司法とマスメディアを不当支配しているからだ。国民が鋭敏で、検察とメディアの腐敗を糾弾して正義を追及する能力を有していれば、その力で悪政を排除できる。現在の日本においては、検察の判断、検察審査会の判断は「正当性の根拠」にならない。
国会が国権の最高機関である。国会が調査特別委員会を設置し、国政調査権に基づいて直接、虚偽公文書作成事件を再調査するべきだ。同時に、検察の不正を刑事告発することを検討するべきだ。
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