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黒川氏に懲戒なし!安倍政権は暴挙中毒か?

メディアゴン / 2020年6月4日 0時19分

黒川氏に懲戒なし!安倍政権は暴挙中毒か?

両角敏明[元テレビプロデューサー]

***

安倍政権の術中にはまって、今もって「訓告にしたのは誰か」なんて言ってる方がいます。問題はそこですか?

<「訓告」はまやかし、ゼロ懲戒で「お咎めなし」が真実>

黒川元検事正は内閣が任命し、天皇陛下から直接にその職を認証される「認証官」という超高位の国家公務員でした。国家公務員法第84条では「懲戒処分は任命権者が行う」と明記されていますので、黒川検事正を懲戒処分できるのは任命権者の内閣だけです。さらに「任命権者は非違の程度や情状によって懲戒処分の内容を決定し、処分の選択については任命権者の裁量」ともあります。ですから法の決まりは、

任命権者でない法務省・検事総長に黒川氏への懲戒権はない。任命権者である安倍内閣だけに選択・内容を含む黒川氏への懲戒権がある。では、今回の処分はどうしたのか、

安倍総理 「処分は検事総長が事案などの諸般の事情を考慮して適切に適正に行った」

菅官房長官 「訓告処分は法務省の調査結果に基づいて法務省と検事総長で決定した」

二人とも「処分」という言葉であたかも「懲戒」をしたかのように印象づけていますが、安倍内閣は懲戒処分などしていません。「訓告」は懲戒ではなく、法務省側がひと声注意したフリをする程度の「監督上の措置」にすぎません。ですから羽より軽いと批難される黒川氏への処分ですが、安倍内閣の決定は羽の重さすらない「お咎めなし」です。

<安倍内閣による国民差別!憲法違反・・・>

この「お咎めなし」は差別です。実証は一例で充分でしょう。

自衛隊員9人は黒川氏と同じ点ピンの賭け麻雀をして国家公務員法の懲戒処分である停職処分などを受け、一部は書類送検されました。これらの処分は給与・賞与を含む人事考課に影響し、人事履歴には懲罰の記録が残ります。

一方で高位の認証官である黒川氏は、コロナ自粛のさなかに自衛隊員と同じレートで麻雀賭博をくり返しながら懲戒なし。逮捕、送検はおろか人事考課への影響もいっさいありません。この行政処理の差は憲法14条1項の原則、「行政は、国民を合理的な理由なく、差別してはならない」に反する憲法原則違反でしょう。自衛隊の皆さん怒るべし、これが皆さんが命がけでお守りする安倍政府の事実です。

<調査などしていない、黒川氏の話を少し聞いただけ>

黒川事案の調査はたった1日程度で法務事務次官の面談と電話による聞き取りだけでした。

・賭け麻雀をした新聞社員への調査、新聞社への確認はせず、ただ記事を読んだだけ。

・朝日が日付を公表している4月の2回について日時確定を避けて確認せず。

・3年間に朝日は月2~3回、産経は数回と公表。法務省は一方的に月1~2回と認定。

・産経提供ハイヤーについて便宜供与の調査せず。

・黒川用公用車の不正利用に関する運行履歴調査せず。

・別メンバーとの賭け麻雀に対する調査せず。

・飲食の提供を受けた事実についての調査せず。

・賭け麻雀の他省庁処分事例を調査せず。

・過去3年程度の常習性について日にち特定調査せず、「訓告」評価の対象外。

・定年延長承諾書提出の時点で常習賭け麻雀の不申告を問題とせず。

結局、何も調べていないのです。こんなもの、調査とは言えません。

<産経記者が記事で便宜供与を指摘>

驚くことに事件発覚後に産経新聞の当事者記者自らが記事を書いています。この中で、自分が用意したハイヤーを黒川氏が利用したことについて、5月1日の料金が2万5000~3万円ほどで「便宜供与となる」としたのです。(プレジデントオンライン 5月27日より)

ハイヤーを用意し同乗した当事者が「便宜供与となる」と言っているのに国は調査もせず、「訓告」の評価にも加えていません。

[参考]東アジアワースト2の安倍内閣コロナ対応 -植草一秀

<法務省調査に何の意味もない>

結局、「訓告」と判断した評価対象事実は「5月に2回賭け麻雀をやった」これだけです。ほかはすべて考慮外です。安倍内閣の調査報告はどれもヒドイモノばかりでしたが、今回は調査とは言えない役立たずの鼻くそみたいな代物です。安倍内閣に懲罰する気がないなら、正しい調査は咎の重さが増すだけで余計です。調査に意味はありません、法務省側ができる「措置」は罪が十でも万でも「訓告」が目一杯ですから。

<これほどの暴挙を強行するのはなぜ>

高級官僚の常習賭け麻雀に懲戒処分をしなければ世論が反発し、国会やメディアで追及されることはわかりきっています。それでも安倍政権はよほどのバカでもやらない暴挙を押し通そうとします。

辞職した黒川氏に利用価値はないのですから、コロナ自粛下の賭け麻雀という世間の風当たりが強い今回ぐらいはふつうに調査をし、ふつうに懲戒すれば良かったはずです。定年延長の強引な閣議決定や解釈変更が批難されても、それは「訓告」でも同じです。ふつうの処理の方がよほど政権への打撃は少なかったでしょう。しかし暴挙強行に慣れきった安倍内閣にふつうにやろうと考える頭脳回路はなく、今はネットで一部の方がこういう疑いにふれています。

「安倍が地獄に堕ちるような数々の検察情報を黒川氏は握っている。だから甘い処分は過剰に恩を売って口止めするヤクザ的手法。」

もちろん、なんら証拠のない憶測です。しかしあの相澤冬樹氏がネット番組の対談で、黒川氏は森友の捜査段階で「不起訴」を明言していたと語っているように、「黒川氏に懲戒なしを強行」となれば、なぜそうまで無理するのか黒川氏と安倍政権の関係性に疑問が生まれます。

そしてもうひとつ怖いのは安倍政権が麻薬中毒者のように暴挙中毒になっているのではないかということです。どこかの知事さんは東京アラート、ロードマップ、ステップワンツー、ウィズコロナと相変わらずの英語中毒のようですが、これはいささか不快で済む話。

他方、安倍政権が、ゴマカシ、印象操作、大盛りホラ話、事実隠し、責任転嫁の中毒状態になっているのならリアルな恐怖で、そんな思いさえ抱かせる安倍内閣の最新暴挙が「黒川懲戒ゼロ」です。5月末、共同通信世論調査で黒川処分が甘すぎる=78.5%。すごい数字です。いくらなんでも「懲戒ゼロ」だけはナシでしょ。

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