10月25日衆院総選挙が根強くささやかれるワケ-植草一秀
メディアゴン / 2020年7月24日 1時9分
![10月25日衆院総選挙が根強くささやかれるワケ-植草一秀](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/mediagong/mediagong_30595_0-small.jpg)
植草一秀[経済評論家]
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6月19日に安倍、麻生、甘利、菅の3A+Sが虎ノ門のホテルで会食した。安倍自民が夜の会合を解禁した日だ。安倍・菅のすきま風説を否定するためのデモンストレーションでもあった。3年前の2017年7月2日に、この4人が会食している。第2次安倍内閣の創業メンバーである。この会合から2ヵ月後の9月に衆院が解散され、10月に総選挙が行われた。不祥事の総合百貨店と化している安倍内閣は苦境を中央突破する衆院解散・総選挙を構想している。この選挙戦略が話題になったと推察される。
安倍内閣は4月に緊急事態宣言を発出したが、5月以降、対応が一変している。5月25日に安倍首相が会見で
「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。」
と発言したことは、末代までの語り草になるだろう。感染は再拡大して、「流行をほぼ収束させることができた」と公言した安倍首相会見から、「わずか1ヵ月半で、今回の感染者数減少が完全に帳消しになった」からだ。「日本モデル」とは、「まったく役に立たないでくのぼう」という意味で定着することになるだろう。
それでも5月以降、安倍内閣は行動拡大推進に明確に舵を切っている。経済活動を再拡大させる。この方針が先に決められて、政策対応が実行されている。ところが、コロナウイルスの感染はいま、明確に再拡大している。日々公表される新規感染者数は急激な増加を示している。人々の行動が抑制されれば、感染拡大が抑止される。
しかし、人々の行動抑制が緩和されれば、感染が再拡大する。極めて順当な因果関係が明瞭に観察されている。人々の行動と感染確認までのタイムラグは約3週間だ。5月末にかけて感染者数が急減したのは、5月初旬にかけて行動抑制が著しく強化されたからだ。5月初旬をボトムに人々の行動が再拡大した。これを後追い連動して感染拡大が確認されている。
しかし、安倍内閣は行動再拡大推進の基本方針を変えていない。しかし、この基本方針が客観情勢と矛盾してしまっている。感染が急拡大するなかで安倍内閣はGoToキャンペーンを強行実施する。主権者の圧倒的多数が、GoToキャンペーンが時期尚早であると判断している。この民意を無視して安倍内閣が暴走している。
安倍首相は首相の座にしがみつくための解散・総選挙を意識している。第2次安倍内閣の創業メンバーは自らの地位の安泰を確保するために、解散・総選挙で中央突破を図る方向にバイアスをかけている。それが、合理性を欠くGoToキャンペーンの基本背景だ。秋の臨時国会を召集して冒頭解散を行う。投票日は10月25日が有力視されている。
このシナリオが現実化する条件は、コロナ問題が拡大しないこと。東アジアのコロナ致死率は極めて低い。日本は検査を十分に行っていないから、見かけ上の致死率は5%に近く、世界標準と変わらない。しかし、その最大の理由は検査が行われず、感染者数が過少計上となっていること。東アジアで十分な検査を実施しているシンガポールの数値が実情を示している。シンガポールでは感染者数が多いが死者が少ない。致死率は0.06%に過ぎない。これは、同じように十分な検査が行われている英国の致死率15.5%の270分の1だ。
日本の致死率もシンガポールと大差がないと思われる。この状況が今後も持続するなら、日本においてコロナを過剰警戒する理由はなくなる。安倍内閣はこの判断を前提にしているように見える。この場合には10月総選挙の可能性が高まる。安倍政治打破を目指す主権者は、この政治日程が動き始めていることを前提に行動する必要がある。
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