<つべこべ言わず拡大PCR実施を!>安倍政権こそ最大のコロナ障害?
メディアゴン / 2020年7月23日 0時1分
両角敏明[元テレビプロデューサー]
***
政治ジャーナリスト・田崎史郎氏によれば、GoToトラベル キャンペーンの東京除外は7/15日の夕方に安倍首相、菅官房長官、今井総理秘書官の3人で決めたそうです。結果は大混乱、安倍首相は知らんぷりですが、こんな重大なことを3人で強権発動できるなら1秒でも早くやるべき事があります。PCR検査の「桁違い拡大」です。
ほぼ国民全体が増やせ、増やせと言ってるのに、いつになってもノロノロ。その理由は法律の壁、行政制度の壁などなど言われますが、国民の気持ちは「つべこべ言わずさっさとやれよ!」でしょう。これまで国会軽視、閣議決定、法解釈変更など禁じ手を使いまくってきたのですから、その「バカ力」を「善行」に使うべきです。
いくら大枚の税金をぶち込んで経済を刺激してもコロナは収束しません。でもコロナを収束させれば経済は戻ります。しかしワクチンも特効薬も副作用確認に時間がかかります。いますぐに有効な手立ては徹底的なPCR検査です。PCR検査に副作用はありません。
東北大学の賀来満夫教授や上昌広氏をはじめ、主張する人が増えているのが「経済をまわすための桁違いのPCR検査」です。多くの有識者の声をまとめれば、3つのこと実現して検査を桁違いに増やせば、経済をシュリンクさせずにコロナと戦えるのではないでしょうか。
(1)受け入れ施設の確保
検査数が桁違いに増えれば桁違いの感染者が生まれます。無症・軽症者隔離ホテル、病院ベッド、および要員確保が必要です。これが前提で(2)、(3)に取り組むことが出来ます。
(2)検査数を桁違いに増やす。
ちまちまと1万だ2万だという話ではありません。10万、100万単位でPCRする話です。
7月17日、参院予算委に参考人として東大先端研の児玉龍彦氏が呼ばれ、強烈な危機意識とクラスター論に変わるエピセンター論が話題となりました。この時、ほとんどメディアが取り上げていないものの、とても気になる箇所がありました。(以下は筆者が趣旨を変えずに短文化)
児玉「私もPCR検査を毎週月曜日にやっていますが1人1分、補助がいれば私でも1時間に60人できます。検査は集約的にやれば危険性も減り、コストも10分の1になります。プーリング(複数の検体をまとめて検査)で8検体まとめると1万検体の検査で8万人分を検査できます。ただちに国会を開いて法律を最適化して、これを今日からやらないと、この感染者数を見ましたら、これが2週間前だとしたら本当に大変です。」「東大でも、どこか会社でも5000人を1日でできます。8検体プールですと4万人できます。」
この発言は児玉氏が費用見積もりまで示したことから議場にうす笑いが起きて、深刻さの印象がうすめられてしまいましたが、すでに日本にある自動PCR検査システムを使えばPCRは桁違いに増やせること、また抽出試薬を含む検査キットなどの日本での開発も進化していることを語ったのです。
[参考]かけがえのない命奪うPCR検査妨害の罪 -植草一秀
国立衛生研や保健所の縄張りや権限、疫学調査用検査がどうこうと言っていないで、国会で法律を変えれば、すでに必要なシステムはあります、検査キットもあります、要員もいます、これをすぐにやるかやらないかは国会議員のみなさまの責任ですよ、と児玉氏は提言していたのです。
(3)経済活性化のためのPCR検査システムの緊急開発
[500人が20分間で、だ液検体採取と感染判定ができる移動可能システム]ができたらどうでしょう。おまけにもっと小型で、20人が15分で検査できるとしたら。このシステム1台で8人プーリングなら1回に4000検体、これを1時間で3回転させれば12,000検体をPCRできます。プロ野球やJリーグなどで2~3台あればどの試合も数万の観客が大声出してハグもハイタッチもし放題です。みんなコロナ陰性と証明された人ですから。
空港・バスターミナル・劇場・映画館や音楽イベント、ホテル、旅館などもこれで感染不安は解消です。ホストクラブやキャバクラ、カラオケもに20人15分のより小型システムを用意すれば、お客もキャストもスタッフも全員陰性!シャンパンタワーでも濃厚接触でもどうぞご遠慮なく。企業やスーパー、商店街も規模に合わせたシステムを用意して問題解決です。どうでしょう、こうなったら経済活動はぐんぐんと活性化するのではありませんか。
問題は、それが現実に可能かです。上氏によれば「30分検査」はオランダで実現一歩手前、各国が競争状態だと言うのです。いまこそ世界に冠たる改良技術の王者ニッポンの知恵と技術の出番です。総力を結集すれば出来ないはずはありません。事実としてニッポンの現実も進んでいます。たとえば、
*だ液検体採取
・国は「発症9日経過後」という縛りがあった無症状者のだ液検体採取を許可しました。
・すでに大阪府がバス利用の街頭「だ液検体採取」を開始しています。
*感染判定システム
・神奈川県はスマートアンプ法によるアタッシュケース型で持ち運び可能なPCR検査システムを7月中に100セット供給可能と発表しました。20分~40分で鼻腔採取8検体を判定しプーリングも可能。1台5h稼働で320検体検査可能ですから、100台稼働すれば32,000検体/日、となります。これはすでに実現しています。
これに加えて児玉氏が国会で、タカラバイオの試薬や検査キットなどかなり良いものが日本で出てきていると言っています。タカラバイオばかりか、ちょっと目についただけでも、日本板硝子、日本BD、バイオ・ラッド、東洋紡、島津製作所、クラボウ、杏林製薬、川崎重工、トヨタ、ホンダなどなどズラリ。この他に理研などの研究機関、各大学、製薬会社などが必死に取り組んでいます。こうした日本の総力を結集すれば、『だ液検体、500人(10人プーリング)、20分で現場判定できる移動可能システム』というスペックは実現できそうではありませんか。
テレビでは衝撃度の高い児玉氏の言葉がたびたび流れます。
「今日の勢いで行ったら 来週は大変になります。 来月は目を覆うようなことになります。」
実はこの言葉の先に児玉氏は力強くこんなことを言っています。
「コロナ対策は東アジアの交差免疫のある日本ならば必ずできます。」
もちろん交差免疫にまかせていればコロナを克服できるなどと言っているのではありません。日本の高いポテンシャルを総結集すれば「コロナ対策はできる」と言っているのです。実現の鍵は「技術」ではなく日本の力を総結集するパワーです。明確な達成目標と期限を設定して権限を集中、情報はフルオープン。その中で法規制や組織権益、数々の縄張り意識などをぶち破り、桁違いのPCR検査を実現するブルドーザーが必要です。
安倍総理はオトモダチ加計学園のために「規制の固い岩盤にドリルで穴をあけた」と言って獣医学部をプレゼントしました。ところがPCR検査拡大にはブルドーザーどころかドリルひとつ手にしません。気力喪失の安倍総理こそが一番の障壁岩盤なのかもしれません。
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