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<夏の第2波>激減データこそ安倍政権の救世主?

メディアゴン / 2020年8月8日 0時36分

<夏の第2波>激減データこそ安倍政権の救世主?

両角敏明[元テレビプロデューサー]

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安倍政権が国会を閉じたのは戦略的大失敗です。国民が感じた「安倍は逃げた!」という印象が強烈だからです。あの時安倍総理が大方の意表を突いて、「コロナ対策のために国会を延長する!」と言明すれば、野党攻撃に曝されるのを厭わずコロナに立ち向かう総理安倍晋三というイメージを押し出せたでしょうに。いまやシッポ丸めた負け犬イメージです。

コロナ対策を、おしゃべりキツネ風西村康稔とご飯論法タヌキ風加藤勝信という、話の長い二人にやらせたのも戦略ミスでしょう。さらに、安倍総理をはじめ官邸幹部はこの二人の陰に隠れ、GoToの前倒しも、再緊急宣言の基準も西村や尾身分科会長が具体的提言をしようとするたびに、陰で横ヤリを入れているのが透けて見えるのは卑怯者の印象マックスです。しかも横ヤリ一本で簡単に発言を変える西村大臣の小物ぶりを世間に曝してもいます。

コロナは地球規模の大災害なのですから、そもそも兼務ではない実力派のコロナ専任大臣を置き、飛び切りの「大物」にまかせるべきでした。政界のことはよく知りませんが、総裁選クラス、例えば岸田政調会長とか野田聖子元総務会長とか、あるいは菅官房長官が陣頭指揮を執るとか。

8月3日になっても「コロナにお気をつけて」が政府方針らしく、安倍総理は自主・自制を求めるほかは『ワクチン・特効薬の開発』などと言うだけです。こんな事実上何もしません宣言では、安倍政権にコロナ感染拡大と戦う気概はまったくなさそうです。

さて、安倍政権がグズグズしている間もコロナに夏休みはないので、状況はどんどん変化しています。春の第1波はなんとなく切り抜けた感じですが、現在の第2波は拡大中、日々の数字にドキドキです。その数字ですが、よく見ると、どうにも不可解な数字もあって、裏にはなにかありそうなのです。

<死亡者数が46分の1に>

8月1日の全国の新規感染者数は1536人、これは1週間前の777人の2倍です。国はこの程度の増え方は「漸増」なので特段の具体的対策は打たないそうです。その根拠は重症者数とか死亡者数が増えていないからです。たしかに8月1日時点の重症者数は全国で80人、東京都は15人まで減っています。これは驚異的な数字なのですが、死亡者数ではいったいどういうこっちゃ?という数字もあります。

東京の死亡者数を比較します。

2月から6月末までの累計陽性者数は6316人で死亡者は325人

7月1ヶ月間の陽性者数はほぼ同数の6847人で死亡者は7人

陽性者数はほぼ同じなのに、死亡者数は325人から7人へ。東京の死亡者は7月になってそれまでの46分の1に激減したというのが単純な計算の結果です。月別死亡者数で見ても5月185人、6月20人、7月7人と激減しています。

理由としては、「37.5℃以上4日間」しばりをはずすなどの検査条件の変化や、若者感染比率の高さ、治療法の進化などが言われ、ある程度死亡率が下がるのは理解できます。しかし特効薬が生まれたわけではなく、ほぼ同じ感染者数あたりの死亡者数が46分の1になるという結果は説明がつきません。

[参考]#臨時国会の即時招集を求めます

唯一想像できる理由として、4月初旬から5月いっぱいまで、東京では医療関係者がどう奮闘しても救えるはずの命が救えない医療崩壊が起きていたのではないかという疑いさえ抱いてしまします。結果には必ず合理的な理由があるはずですが、今のところ専門家から明解な説明はありません。

<重症者の割合が東京と大阪でまったく違う>

次に重症者です。入院者数に占める重症者の割合を7月31日の数字で比較します。

東京都:入院者数1197人、重症者数16人、割合=1.3%

大阪府:入院者数294人、重症者数19人、割合=6.5%

入院者数が大阪より4倍多い東京が重症者数では大阪より少ないのです。東京が大阪と同じ割合で重症者が出ていたら78人となり、都が確保した100床の重症者ベッドは残りわずかです。東京と大阪では何が違うのか、入院の基準や重症の定義が同じなのか疑問です。

<全国入院を要する者数が1ヶ月で9倍!でも・・・>

検査の結果入院を要する者の数が7月1日に全国で約1000人だったものが、7月31日には約9000人になっています。もし重症化率が東京並みの1.3%なら117人、大阪並みの6.5%なら585人が重症ですから大変なことになっているのですが、重症者の実態は8月1日時点で80人です。なんと現実の重症化率は1%にも満たない0.8%です。まさに奇跡のような数字です。この理由も専門家からほとんど説明されていないのですが、一部にタイムラグ説があります。

<感染者数と重症者数のピークはズレる>

春の第1波で1日の新規感染者数ピークは4月10日です。この日重症ベッドにいた人の数は全国で122人でした。この第1波で重症者数が最大の328人を記録したのは4月30日ですから、感染者数のピークと重症者数のピークには20日ほどのタイムラグがあります。その間に重症者数は2.7倍に増加しています。

第2波では今のところ7月31日の1580人が全国新規感染者のピークで、この時点の重症者数は78人です。第1波の「タイムラグ20日、2.7倍」に学べば8月20日ごろには2.7倍の200人が重症者ベッドにいることになります。全国で200人なら医療崩壊までは行かずに済みそうです。ただし7月31日がピークとは限りませんので、今後とんでもないピークが来て、とんでもない倍率で重症化したら、地獄を見る可能性は消えていませんが。

こうして見ると、7月の第2波では極端に重症化と死亡者が激減しています。これは感染拡大防止よりも経済回復を願う安倍政権にとっては格好のデータです。GoToも緊急事態宣言もグダグダ言い訳をしていないで、これらのデータの科学的、合理的な裏付けを専門家にしてもらって実証すれば国民は喜んで旅に出るし、社会活動を活発化します。

ご存じのとおり、データや議論を隠蔽・ねつ造・改ざんせずにフルオープンとし、自由、公平な論議の上で合理的な結論を求めないことが安倍政権の最大の欠点なのです。これをあらため、重症化と死亡者減について、合理的に説明し、どんな質問にも答えられるかどうかが、安倍政権の復活のラストチャンスのように思うのですが。

<オマケにこんなデータを>

5月7日要入院治療者が11286人いたのですが、翌8日には一気に5000人減って6302人になっています。この日の棒グラフはまるでエル・キャピタンの壁のごとく垂直降下です。

実はこの日の記録では一日で約8000人が退院あるいは解放されています。5000人との差、3000人は何なのか?この日、ぜったい何かがあったのです。ナゾです。

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