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<安倍政権>7年8ヵ月も続く史上最悪の悪夢 -植草一秀

メディアゴン / 2020年8月29日 1時50分

植草一秀[経済評論家]

***

安倍首相の首相としての連続在任期間が8月24日に歴代最長になる。2012年12月に第2次安倍内閣が発足して、年末で丸8年になる。これまでの連続在任期間は佐藤栄作氏の2798日だった。安倍首相の在任期間は長くなったが、長くなった以外に成果がない。安倍内閣は経済の拡大を表看板に掲げてきたが、経済すら最悪の状況に陥っている。

日本の実質GDPは安倍内閣が発足した時点で498兆円(季節調整済、年率換算=2012年10-12月期)だった。2020年4-6月期の実質GDPは485兆円になった。第2次安倍内閣が発足してから、日本のGDPはまったく増えていない。減ってしまったのだ。

第2次安倍内閣が発足してからの実質GDP成長率(前期比年率)単純平均値は-0.1%である。2009年から2012年にかけての民主党政権時代の実質GDP成長率単純平均値は+1.7%。民主党政権時代の日本は東日本大震災、フクシマ原発事故に襲われ、極めて低迷した。

この低迷経済の民主党政権時代よりもはるかに悪いパフォーマンスを示しているのが第2次安倍内閣発足後の日本である。労働者一人当たりの実質賃金は6%も減少した。世界最悪の経済パフォーマンスを示している。

この8年弱の期間に実行したことは、

* 特定秘密保護法制定

* 集団的自衛権行使容認憲法解釈閣議決定

* 戦争法制制定

* 共謀罪制定

* TPP参加

* 種子法廃止

* 水道法改定

・・・などである。

下村博文氏、甘利明氏の犯罪疑惑も浮上した。

森友学園への国有地激安払い下げ「虚偽公文書作成」に関する事件では、罪のない財務省職員を自死に追い込んだ。加計学園に対して獣医学部解説で便宜を図った疑惑も浮上。桜を見る会では公的行事を私的に利用した疑いが持たれるとともに、公選法違反疑惑も浮上した。検察庁人事に不正に介入したことも記憶に新しい。国民から称賛される実績は皆無である。

他方、刑事事件として立件すべき事案が次から次へと噴出してきた。歴代最長かつ歴代最悪の政権と評価することができる。これほど劣悪な政権が長期間存続してきたことは、日本政治の劣化を如実に示す証左である。

2009年9月には鳩山由紀夫内閣という金字塔が打ち立てられたが、この偉業を支える力が乏しかった。安倍内閣の特徴は敗戦後日本の傀儡政権代表と言える吉田茂内閣、岸信介内閣の首相の孫二人がトップに居座り続けていることにある。日本の実効支配者である米国は、米国に隷従する政権を日本に創設し続けてきた。この基本路線が維持されるなかで、米国傀儡の安倍内閣の長期存続が米国によって主導されてきたと言える。

米国による日本支配の構造を刷新しようとしたがゆえに、鳩山内閣は激しい攻撃を受けた。卑劣で不正な人物破壊工作が展開された。鳩山内閣を破壊した主役は民主党内に潜んでいた隠れ自公勢力である。菅直人氏と野田佳彦氏は辺野古米軍基地建設を推進するとともに、「シロアリ退治なき消費税増税」路線を強行に打ち立てた。

この路線を敷いたうえで、安倍自民党に大政を奉還した。2013年7月参院選でメディアは衆参ねじれ解消に総力を注いだ。この選挙でねじれが消滅し、安倍内閣の暴走が加速した。しかし、安倍内閣の長期存続により、日本は最悪の事態に陥った。1秒でも早い事態の是正が必要である。日本は一刻も早く現在の悪夢から脱却しなければならない。

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