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菅・二階利権ファースト内閣への引退勧告 -植草一秀

メディアゴン / 2021年1月7日 1時46分

植草一秀[経済評論家]

***

菅内閣の能力不足が日本の市民を不幸に陥れている。東アジアのコロナ被害は相対的に軽微だ。中国、台湾、韓国、日本を比較してみる。

人口100万人当たりコロナ死者数は以下だ。

台湾:0.3人
中国:3人
韓国:19人
日本:29人

欧米では、

ベルギー:1700人
イタリア:1253人
英国:1108人
米国:1091人

日本の人口当たりコロナ死者数は欧米比では30分の1から50分の1だが、中国の10倍、台湾の100倍だ。コロナ感染抑止のための菅内閣政策対応が後手後手だ。国内の新規陽性者数が1660人になり、3ヵ月ぶりに過去最高を更新したのが11月12日。11月18日には新規陽性者数が初めて2000人を超えた。

東京がGoToに組み込まれたのが10月1日。人の移動拡大が3週間後の新規陽性者数拡大につながる。この関係を順当に反映して新規陽性者数が急増した。11月20日にコロナ対策分科会が感染拡大地域のGoTo見直しを提言。

「英断を心からお願いする」

と述べた。しかし、菅内閣は11月21日からの3連休の人出拡大を意図的に放置した。感染抑止よりも旅行業界への利益供与を優先したのだ。札幌、大阪、遅れて東京でGoTo見直しが行われたが、すべて、それら地域を目的地とする旅行だけの停止で、これら地域を出発地とする旅行は停止されなかった。

11月21日からの3連休の人出拡大を背景に12月中旬から新規陽性者数が急増した。12月12日には全国の新規陽性者数が初めて3000人を突破した。このなかで菅義偉首相は12月11日にニコ動に出演。「ガースーです」と自己紹介し、GoTo一時停止について問われると、「そこはまだ考えていません」と答えた。

12月12日に新規陽性者数が3000人を超え、12月13日発表の毎日新聞世論調査で内閣支持率が40%に急落する一方、不支持率が49%になって支持、不支持が逆転した。世論調査結果を受けて菅首相の態度が急変。12月14日にGoToトラベルの全国一時停止が表明された。

しかし、菅首相はその発表後に銀座で開かれた8人でのステーキ忘年会に参加。GoToの一時停止も12月28日からの実施とされた。感染拡大を放置すれば影響は幾何級数的に拡大する。2週間後の実施という判断に菅内閣の驚愕の「のろさ」が表れている。

12月31日、東京都の新規陽性者数が1300人を超えた。これを受けて1月2日に首都圏1都3県知事が緊急事態宣言発出を要請した。菅首相が対応することは可能だったが、表に立たなかった。しかし、内閣支持率がさらに急落することは必至で、この点に思いを致したのか、1月4日になって緊急事態宣言の検討に入ることを表明した。12月28日から実施した外国人の入国制限も、もっとも数が多い、感染状況が落ち着いている国・地域を対象にした、

1.出張などの短期滞在者を2週間待機免除で受け入れること

2.駐在員や技能実習生などの中長期滞在者を2週間待機付きで受け入れること

を除外したものだった。菅首相は「先手先手」と自画自賛したが、ザルの入国規制だった。1月7日に発出されると見られる「緊急事態宣言」もザル宣言になる可能性が高い。単なる「夜8時以降の飲み会禁止」宣言に過ぎないものになる可能性が高い。相変わらず「戦力の逐次投入」で、「戦略失敗の認定と撤回」が行われない。

菅中将のインパール大作戦は大失敗に終わり、菅中将は責任を明らかにする必要が出てくる。それでも菅中将は、「作戦は私のせいではなく、部下の無能さのせいで失敗した」と言い張るのだろうか。

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