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選挙報道とメディアのあり方

メディアゴン / 2021年2月27日 7時30分

選挙報道とメディアのあり方

水野ゆうき[千葉県議会議員]

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選挙報道とは実に不可解なこと、恣意的な切り取りや歪曲は多い。エンタメ化された部分だけクローズアップされたり、実態とは異なる面白おかしい対立シナリオを作り上げるなどは多い。

例えば、私の地元である千葉県でも、県知事選挙を控え、様々な情報が錯綜している。その中には、理解不能なことも少なくない。(筆者自身、現在、支援している候補者がいるが、公平な選挙を目指すために本稿ではあえて候補者名をここで挙げることは控える。)今回、問題提起したい点はマスメディアの報じ方である。米国でも政治に関するメディア報道は大きな問題となっているが、巧妙に、そして自然に視聴者や読者に印象付ける文章表現について改めて伝えたい。

筆者は選挙で政党から一切、公認や推薦をもらわない完全なる無所属の政治家だ。これまで、どこの政党にも所属したこともなければ、家族・親族に政治家もいない生粋の無所属である。もちろん、無所属であるとしても、党派を超えて様々な政党や団体との付き合いがあるのは当然であるし、個人的に信頼関係を築いている政治家は多くいる。一方で、旧民主党系の政治家が潮目が変わって突如、無所属になったような政治家とは一緒にされたくないという「無所属のプライド」もある。

今回の千葉県知事選で筆者が支援している候補者とは出馬表明以前から政策協議を行っていた間柄であり、千葉県内で真っ先に候補者と筆者の2連ポスターを貼り出した。協議の際、リーダーというのはあらゆる政党をリスペクトし、あらゆる意見を聞くために「排除の論理」は取らない、という姿勢も了承した。

[参考]<パフォーマンス政治?>「ホワイトアクション」に対する報道とSNSの温度差

まもなくして、その候補者が無所属で出馬表明をした際に、自民党及び公明党一部の国会議員、立憲民主党が支援しているという報道がなされた。その後、ほどなくして自民党は独自候補を擁立したことにより支援報道から消え、現在、筆者が支援している候補者は残った「立憲民主党の県議団」と「日本維新の会」が支援している状況となった。

そもそもこの候補者の支援の中枢を担っているのは明らかに千葉県内の無所属の地方議員・首長軍団である。筆者が所属する千葉県議会の無所属会派は県議会で、その候補者と政策協定を締結している。さらに先日は党派関わらず県内市町村議会議員と締結したことも発表された。確かに立憲民主党とも2連ポスターを貼り出しているが、それと同様に、いやそれ以前から無所属県議である筆者とポスターを貼り、今では相当数の無所属の首長や議員と2連ポスターが貼り出されている。しかし、こうしたことはメディアでは一切報じられないのだ。ただただ、結果論でしかない「立憲が支援」という部分だけがクローズアップされている。

もちろん、マスメディアの報道では「立憲民主党が支援する〇〇氏」と書かれる。「無所属や維新が支援する」とは書かれない。我々無所属議員では役不足なのかもしれないが、それでは明らかに信ぴょう性に欠ける。「立憲」としなければと自民党と共産党との対立軸にならず、メディアとして面白みがないからなのか。

地方政治は二元代表制であり、政党政治ではない。なぜ国政の構造を無理やりこじつけ、与野党構造を作り出そうと躍起になるのであろうか。候補者本人が幾度となく地方政治の在り方を説明しており、「無所属・維新に支援をいただいている」と何度もSNS等で発信している。いくら候補者及び無所属や維新の政治家が連携しているということを発信してもメディアは「立憲が支援」という設定に固執する。

県政であることから、県議会の動きを報じることは非常に重要であるにもかかわらず、報道されるのは国会議員の内容ばかりだ。これは自民党関連の報道にも言える。自民党の国会議員の不祥事を知事選にこじつけて報じることはおかしいのだ。もっと言えば、そもそも現時点で千葉県知事選に出馬表明している8名を公平に扱うべきなのだ。

県議会では我々無所属会派の議員が支援していても、県議会に一人の「市民ネットが支援する」という記事の方が大きかった。「政党」や「団体」でしか報じることができないのだとしたら、県民や市民に二元代表制の仕組みや地方政治への理解が深まるはずがない。さらには、共産党の候補の報道は少ないことも気になる。衆院選を控えているからなのか、国政の関心が高いからなのか、国政の政局を軸にした政党優先の報道をしているのだから、地方政治の政策論争が進むはずがないのはもっともだ。現在は新型コロナウイルス感染症対策に防災対策と千葉県の課題は山積みである。それらに対してどのような政策を持っているかということが何よりも大事である。

一般論でいうと「立憲=左」であり、わたしたちが支援している候補者を、メディアは意図的に左のイメージをつけたいような気がしてならない。明らかに右の要素が強い「維新」の名前は地元紙ではなかなか見つからない。こうしたメディア報道に対し、全面的に支援をする多くの無所属議員たちが説明に追われている。だからこそ、有権者には候補者本人の発信をしっかりと読んでほしいと思うし、気になったことは候補者に質問したら良い。メディア報道に対して候補者自らがSNSですぐに説明・発信できるのが、現代の選挙なのだ。

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