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韓国のパクリLEGO「伊藤博文暗殺ブロック」の問題点

メディアゴン / 2021年3月5日 7時30分

韓国のパクリLEGO「伊藤博文暗殺ブロック」の問題点

藤本貴之[東洋大学 教授・博士(学術)/メディア学者]

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韓国で伊藤博文の暗殺事件をモチーフとした子供向けブロック玩具「独立軍ハルビン義挙」が発売されていたことがわかり、話題となっている。日本で伊藤博文といえば、かつて1000円札にもなった日本近代化の功労者であり、近現代を代表する偉人の一人であろう。

一方で、1905年に設置された「韓国総督府」の初代韓国統監となった伊藤博文は、韓国では日本帝国主義の象徴、極悪人として描かれることが多い。韓国では暗殺犯である安重根は民族独立の英雄であり、伊藤博文の評価は日韓では著しくる異なっていることはよく知られている。

さて、話題となっている安重根による伊藤博文暗殺事件の場面がモデルとなったLEGOに酷似した韓国製ブロック玩具。対象年齢は8歳以上というが、玩具の政治利用や反日ビジネス以外に何の目的や効果があるのか? 誰がターゲットなのかも、理解に苦しむ。

子供向けのブロック玩具に暗殺事件をモチーフとして利用することや、政治問題化しそうな議論やナイーブな問題を採用することに、なんとも言えない悪質さ、不気味さを感じている日本人も少なくない。そもそも子供用の玩具に鉄砲や爆弾などの暴力的な武器のパーツを入れること自体、健全とはいえないと感じる人も多いはずだ。

確かに、このような商品は話題にはなるし、反日が一種の経済手法になっている韓国においては、もしかしたらビジネスとしては正攻法なのかもしれないが、日本人としてはたまったものではないし、国際的にも受け入れられるものではない。

もちろん、本家LEGOには、ハリーポッターやマーベルコミック、スターウォーズなど、子供に人気のアニメや映画などをモチーフとしたモデルも多く、その中には戦闘的な場面もある。だからといって、実際の暗殺事件や殺人事件が題材になるようなことはない。

[参考]韓流BTS「パクリ疑惑」はフランスの写真家だけではない

しかしながら、本件は「子供の玩具の政治的利用」や「反日ビジネス」という悪質さだけではない、根深い問題も残っている。「伊藤博文暗殺事件の玩具」というインパクトに見落とされがちだが、実は、考えなければいけない本質的な問題もある。

そもそも、発売されている玩具自体が、LEGOと酷似したパクリ商品である。もちろん、パクリ玩具などはLEGOほどの有名ブランドであれば慣れている事案だとは思うが、一方で、今回は、あまりにも酷似した玩具であるため、ともすればLEGOのような国際ブランドが、「伊藤博文暗殺事件モデル」を発売したかのように見える。これは、LEGOブランドへの著しい毀損や風評被害にも繋がりかねない。内容物は言うまでもなく、パッケージのデザインもいかにもLEGO風だ。パクリ問題、知的財産権の問題以上に深刻な問題だろう。

また、発売元の会社名は韓国企業にもかかわらず、「オックスフォード社」という社名であり、こちらも非常に紛らわしい。オックスフォード(OXFORD)と聞いて誰もが思い浮かぶのはイギリスだ。オックスフォードを冠したイギリスの有名企業は、アパレルや出版など少なくない。老舗企業も多い。

これではあたかもイギリスの老舗企業が「伊藤博文暗殺事件」の玩具を発売したかのような印象さえ受ける。少なくとも、「オックスフォード社が伊藤博文暗殺事件の玩具を発売」などと書かれた記事とその商品写真を見たら、「LEGOがイギリスで伊藤博文暗殺事件の玩具を発売したのか?」と錯覚を受けてしまう。

かつて、地下鉄サリン事件を起こした「オウム真理教」の出版部門が「オウム出版」という名称であったことから、老舗の有名理工系出版社である「オーム社」は関連があるのかと疑われ、風評被害を受けたことがあった。その騒動を彷彿とさせる。紳士の国イギリスからしてみればもはや国辱モノの社名である。「東京」や「日本製」という社名の会社が不謹慎な殺人事件の玩具を発売するようなものだ。

韓国で展開される反日ビジネスや不健全ビジネスに関しては、いささか食傷気味で慣れている人も多いかもしれない。しかし、今回の「伊藤博文暗殺」のパクリLEGOは、無関係な企業・国家のブランドや国際世論にも影響を及ぼしかねない根深い問題を抱えている。単に反日ビジネスという話では治らない問題の深刻さを考える契機としてほしい。

もちろん、発売元からすれば、玩具を通じて歴史を学ぶ、「教育の一種」という主張もあるのかもしれないが、まずは知的財産権や国際コミュニケーションの問題についても、しっかりと教育し、学ばせてほしいものだ。そもそも韓国にとってもマイナスブランディングでしかないし、国際社会がこんな不謹慎な玩具を受け入れることは絶対にないのだから。

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